みずの森>温室の花>サラノキ

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 サラノキは仏教三大聖樹(沙羅双樹、無憂樹、菩提樹)のひとつで、釋迦が入滅の際、そこに咲いていたサラノキが花を咲かせてすぐに散ってしまったという。

 日本のお寺で梅雨の時期に白い花をつけるのが娑羅の花だと昔から言われてきたが、本来のサラノキはインド原産の高木で、熱帯から亜熱帯に分布する。日本では温室でしか育たないのだが、昔導入するのが流行った時期があったようで、多くの植物園に植えられている。しかし、今まで日本国内でサラノキが開花したのはみずの森だけだと思う。10年以上にわたって毎年開花しつづけてきたが、木が弱ったのか、2020年の春は開花しなかったようだ。花は星形で、淡いクリーム色。開花が終わってはらはらと花が散ってしまうと、落葉がはじまる。花が終わったあとは羽子板の羽根のような実を結ぶ。インドでは非常に高く成長するので、この羽根がくるくる回りながら風に吹かれて遠くまで種子を飛ばすのだろう。

 みずの森では、開園当初からサラノキが温室に植えられていた。1本は睡蓮の池に近いところで、そこから温室の外に伸びている通路を挟んでもう1本。「沙羅双樹」を演出したものだろう。鉢植えではなく、かなりの広さ、深さのある場所が用意されていた。サラノキは、京都府立植物園や熱川バナナワニ園などにも植えられていたが、今までに開花したことはなかった。どこでも仏教三聖木として沙羅双樹や菩提樹(インドボダイジュ)、無憂樹(ムユウジュ)をそろえて展示していた。

 ところが、2003年になって、突然みずの森のサラノキのうち1本が開花したのだった。私が見に行ったときはもう花は終わり、羽子板の羽根のような実が付いているだけだった。インドのような熱帯地方でしか咲かない、本物のサラノキの花(のあと)がこれなのかと、驚いたものだった。