ブラックバスと琵琶湖の稚鮎                

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328/328 MAF01054 びわ湖の小鮎 Bバスと琵琶湖と稚鮎 その1
( 1) 90/10/16 21:03

ブラックバスの話が町田の鮎きちさんやジョージBB(^_*)さんから出てきましたので、 少しローカルになりますが、稚鮎とBバスで有名であることにお許しをもらって、 柄にもなく少し真面目にBバスと稚鮎、その他の魚類との関係を整理したく、彦根に ある県の鮎苗漁連と、大津の漁業組合連合会に電話をしてみました。その中で自分 なりの考えをまとめようとしたのです。
その前にまず大雑把に今、琵琶湖、及び魚類を取り巻く処問題について書いてみます。
1.近畿圏の水需要の増加に対応する、琵琶湖総合開発事業(=琵琶総・最大限今より 1.5M水位を低くする)の進捗による湖岸道路の整備、それに伴う葦はらの減少と、 琵琶湖リゾートネックレス構想の具体化によるこれまで以上の水質悪化への兆し。
2.1とも関係するのですが、琵琶総の要にもなっている下水道整備事業の遅れ。
3.外来種であるBバス、の異常繁殖(県水産試験場の推量によると、1000tから 1500tに達する)と、在来種(ビワマス、鮒、本もろこ、ワタコ{ワタカ})の異常 減少。
4.増産に走りすぎた結果による湖産放流鮎の質的な変化。
こうしてまとめてみますと、問題点が幾つかに絞られていることが分かります。
10年以上前に全国で先駆けて作られた、リンを含む合成洗剤の追放という画期的な 条例にも関わらず、その後の県民の所得の向上(全国5位)と平行するように水質の 実質的な(統計では横ばい)悪化が進んでいること。そして、もう一つが無秩序な開発 です。敢えてもう一つ上げるとすれば、鮎苗の確保の為に人工河川への親鮎の放流に 頼らざるを得なくなった、Bバスの繁殖でしょうか。しかし、これについては稚鮎の 生育水域がほぼ琵琶湖の真ん中であるということからして、関係がないという意見も あることを付け加えておかなければなりません。僕も琵琶湖へ流れ込む河川上流の ダム化によって、産卵期の水量の減少がひどく、この事のほうが問題のように思います。
最近の大きな動きとしては、やっと県も重い腰を上げてこれまた全国に先駆け、 「ヨシ保存条例」化に向けて本格的に取組だしたことです。少し遅きに失した きらいもありますが、頑張ってほしいものです。
以上、独断と偏見でまとめてみましたが、特に僕達釣り人にとって問題になり、且つ 議論の対象になるのは、環境問題を敢えて棚にのせると(実はこれが一番の原因なの ですが)、Bバスの他魚への影響、Bバス自身の生育状況、稚鮎の生産・生育状況で しょうか。
僕なりの結論を出す前に、ここで関係漁連の電話での応答を書いておきます。
まず鮎苗漁連の反応は、「確かにBバスについては相当な影響が考えられるが、 もともと琵琶湖の鮎は海の鰯のように他の大きな魚、例えばケタバスや琵琶鱒の餌と なっていたことを考え合わせれば、水質やダムの影響などもあり、一概には言えない。 一時は相当捕食された時期もあったようで、極端な資源の減少が見られた。そこで相当な 投資をし、今は安曇川と姉川の人工河川による増産効果が出て供給には支障がなくなって いる。しかしBバスには重大な関心をもって見守っていきたい。」
そこで僕は最近の湖産鮎の質の低下について質問してみました。昔のように追わなく なったのじゃないかと言うことです。当然その中には人工河川による養殖鮎の多量 産卵の影響についての問題もあります。それについては以下のコメントをいただきました。
「確かにそのような声があるのは承知しています。今までは急な資源の枯渇に対処する ために、量的に対応するために必死でした。お説の質的な問題についても、例えば人工 河川に放流する親鮎を遡上期に捕った上質の鮎に置き換えるとかの方法についても考えて いきたいと思います。ただ、遡上鮎はどうしても河川放流用に廻されることが多いので、 これからの問題として全力を上げて取り組んでいきます。」
ここで少し意地悪な質問をぶつけてみました。「福井の各河川ではそうでもないが、 特に岐阜の川で最近の湖産鮎の追いが悪い。これは地元の人の話ではどうも滋賀県の 鮎苗漁連と岐阜県の漁連が喧嘩をしているからだという声があるがどうなんでしょう。 それとまさか放流稚鮎の中にBバスの稚魚が含まれてるってことはないのでしょうね。」
これに対しては、「福井などの北陸地方の川では丁度湖産鮎の遡上の最盛期に放流時期を 迎えるので、良質の稚鮎が行っている。他の三重や岐阜、愛知などはどうしても先取りの 半養殖物が多くなるのでいたしかたないのです。別に喧嘩をしているわけではありません。 それとBバスの稚魚のことですが、まずないとは思いますが、、」と常識的にいなされて しまいました。しかし、放流鮎にBバスの稚魚が交じることも考えられるというように 受け止めました。それ以外には中々勉強もされているようで、僕達、友釣り師の要望に ついてもよくご存じでした。
次に電話をした大津の漁連も丁寧に応答してくれました。
「実はBバスについては困っている。昭和59年から本格的な撲滅に乗り出したのですが、 ご承知のような状況で、市場に出すにしてもマイナーな魚なのでまだまだです。
他魚に対する影響はモロコや鮒寿司用の鮒に見られますが、これとて水質や棲息状況の 悪化と関連付てみますと、確かにそうだと言い切れない面もありまして。Bバスの腹を 裂いてみますと海老などの甲殻類の他に上記の稚魚も見られることからしても関係が あることは事実なのですが、しかし海老類の漁獲量が減っているわけでもないのです。 びわ鱒にしても最近数年間は少ないながらも横ばいです。Bバスの棲息状況ですが、 場所によっては減少しているという漁師さんの意見もあり、おおむね現状維持か もしくはやや減少気味というところでしょうか。入ってきた当初のような爆発的な 増殖は終わったようです。」
ここで先ほどの鮎苗漁連と同じ質問をしてみました。
「あっはは、よくご存じですね。実は喧嘩をしているのは本当なのです。
原因は商的なことですけど。」
ななんと呆気なく岐阜県漁連とのトラブルを白状した。おまけに商業ベースの トラブルだという。これで岐阜県への湖産鮎の質が悪いのもうなずける。次編 では僕なりの結論を。特に鮎師の面から。小鮎

次編では僕なりの結論を。特に鮎師の面から。
                           小鮎


○Bバスと琵琶湖と稚鮎 その2

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( 1) 90/10/17 20:18

前回の関係漁連への電話の応答と僕達が日頃釣にいって感じていることから、 浮かび上がってくる点は、
@ 少なくとも琵琶湖ではBバスの異常繁殖は収まった。しかし半面放流用稚鮎に 交じっていたり、あるいは心無い釣り人によって持ち込まれたりして全国的には 増加の傾向にある。特に問題になるのは相対的に狭くておまけに増水時と渇水時の 差が激しく、且つ食餌に恵まれないダム湖に多量のBバスが繁殖しつつあること。
A 今までは流れには住まないとされていたBバスが、最近はかなりの急瀬の 中にも棲息していること。
B 琵琶湖産の稚鮎には問題があることがはっきりした。

以上をもう少し詳しく見てみると、
@とAは大いに関連があり、特に渇水時のダム湖ではBバスがバックウオーターを 越え、本来鮎や清流魚の縄張にまで入り込んでいることを証明している。事実今年の 愛知川ではダム上流で友釣りをしていた釣友に、しかも瀬の中で2匹のBバスが 掛かっている。困ったことに友釣りはまるで天然のルアーを引っ張っているような もので、自衛策は何もないことだ。
この事から放流された稚鮎もBバスの餌になっていることも考えられる。しかし これを証明するには5月頃、稚鮎が放流された後のBバスを捕らえ腹の内容物を 見てみなければならない。どうも愛知川のダム上流に放流された量と、実際に見た 魚影に差がある。来年出来たら調べてみたい。一部にはBバスの腹の中ではなく、 組合員の腹の中に収まったのだという意見もあるが。
半面、琵琶湖でのBバス被害は峠を越えたようだ。これからは行政による失われた ヨシの復元と住民全員の絶え間ない水質の改善努力によって、減少した魚類も徐々に 戻ると思われる。県の水産試験場も人工的な増殖に取り組んでいるが、安易な人工 受精には反対だ。種本来の本能を踏みにじるようなやり方でなら、むしろ種の安楽死を 迎えさせてやりたい。あくまで自然の中での回復が原点だと思う。Bは大問題で、 至急に解決しなければならない。
今のところ、人工鮎に対する釣り人の反発は大きく、例えば長良川中央(美濃市) 、、、ここが萩原町と並ぶ岐阜の人工鮎の本家なのだが、、、で聞く釣り人の声も 他所以上に不平不満に満ちている。しかし、岡山の高梁川や兵庫の揖保川の例を 見ても徐々に人工鮎も完成に近づいており、将来は鮎苗漁連の職員も認めたように、 琵琶湖産稚鮎を追い抜くことも考えられる。また3倍体鮎というバケモノも後を 追っており、早く品質の向上をお願いしたい。人工河川による産卵が無くては ならないものなら、親鮎の品質を良くするようにしてもらいたい。できるならたった 1週間で良い、ダムの水を抜いてもらうようにすれば。これだけでどれだけの親鮎が 自然の中で産卵できるか、、。秋には田圃の水も必要無いのだから。
「これが中々難しくて、、県も、、」などと言っている場合ではない。県も、、 農地灌漑用ダムだから常に満水が条件で、、などと言っているから洪水を起こすのだ。 必要無くなった水はどんどん下流へ流せば良い。
いよいよなら僕らの会員が極論しているように、上質の海産稚鮎をいれて種の交配を はかることも考えなければならないと思う。
さもなければ僕の持論のようにもう10年で友釣りは出来なくなるかもしれない。 いや、出来たとしても人工鮎と3倍体鮎だらけの川に入ることになる。しかしもう すでに湖産鮎も人工鮎と言えるかもしれないが、、。
長々と書いてきましたが、僕個人がBバス、他魚との関係について結論めいたものを 出すとすれば、それはどうしてもそれぞれの魚を釣の対象としている関係で、釣り人 同士の利害の不一致を抜きにしては考えられないのです。Bバスファンにはこの魚は 外来種であるということ、その環境に住んでいる他の生物を食餌しているということを、 もっと認識して貰わなければなりません。
Bバスファンにはこの魚は外来種であるということ、その環境に住んでいる他の生物を 食餌しているということを、もっと認識して貰わなければなりません。
一部の釣堀みたいなところを除いて、今までの既存の生態を崩して繁殖しているのは 事実なのですから。Bバスさえ居れば、、というような自己満足は許されないこと ですし、この魚のおかげで苦しんだり、怒ったりしている人もいることを思い起こす べきでしょう。僕などはゲームフィッシングを言うのなら何故スレバリを使わないのか 分かりませんし、魚の大きさに比べてラインが太いようですね。もちろん魚を大事に することを否定するものではありませんが、同じこ
Bバスさえ居れば、、というような自己満足は許されないことですし、この魚のおかげで 苦しんだり、怒ったりしている人もいることを思い起こすべきでしょう。
僕などはゲームフィッシングを言うのなら何故スレバリを使わないのか分かり ませんし、魚の大きさに比べてラインが太いようですね。もちろん魚を大事に することを否定するものではありませんが、同じことは既存の魚等にも言える こと。むやみに他所へ放流することは厳に謹むべきでしょう。
一方、Bバスファンに目くじらを立てるのもどうかと思います。今では日本でも 完全に一つの釣のジャンルとして確立しているのですし、多くのファンがいる ことも事実なのですから。琵琶湖ではそう大きな対立もなく、Bバス釣が一つの 風景に溶けこみつつあります。他のところ今しばらく待ってみてはどうでしょう。
もっと恐ろしいのは、一時爆発的に増えたザリガニが環境の悪化とともにめっきり 見なくなったように、ブラックバスでさえも住めない環境になってしまうことでは ないでしょうか。
                         小鮎

PS.MAMORUさん、いらっしゃいませ。ROM、ありがとうございます。 おかしなものですね。ROMされている鮎釣をされない方が、鮎釣をされる パソ通 をされない人にLOGFILEをお渡しになって、鮎のおすそ分けに あずかられる とは!これこそパソ通!!OBKさん、はじめまして!  いつも3番会議室は楽しく読ませていただいていま す。OBKさんはSバス 専門ですか?Bバスはされないのですか。またよろしくお願いします。



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