439/447 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 始めに (19) 91/11/09 14:49 コメント数:3 さあ、それでは「僕の人生、鮎とともに暮らすのもいいじゃないか」と 思ってもらえる人を増やすための講座を開きたいとおもいます. ちなみに、破産や離婚、一家心中という悲惨な結果を招きましても、当 方には一切関係無いものとさせていただきます. この駄文の進め方ですが、鮎の習性や種類といった基本的なことはあっ さりと触れ、足らないところは過去のLOGからでも参照してもらうと して、以下の順に書いてみたいと思います. 1.友釣りとは. 2.必要不可欠な道具類について. 3.あれば便利な道具類について. 4.基本となる友釣り技法. 5.応用編. 6.有名河川による実技. なるべく巷にあふれている、友釣りの入門書、解説書のような「書くた めの解説」ではなく、来年からすぐに役立つような、少しピッチの早い ものにしていけたらと思っています. それと作者の好みにより、「小型鮎の数釣り」よりは「大物を釣るため」 に若干片寄る可能性があります.できれば「大物の数釣り」まで行けれ ば良いのですが、、. なお、「6.有名河川による実技」につきましてはFFISHに数多お られる、地方地方の『電脳釣り師』の協力も得て進めて行きたいと思い ます. できれば、釣り人が直に見た川のデータベースが構築されれば最高です ね. 小鮎 440/447 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 6月まで (19) 91/11/09 14:49 鮎は、秋に下流部の小石底に産み付けられた卵から孵ると、海あるいは 湖に入り、冬をすごし、琵琶湖では主に中央部に集団を作ります. この頃は体長2〜3cm、体が透き通っていて「氷魚」(ひうお)と 呼ばれます.餌はプランクトン. それが水ぬるむ春になると浅瀬に集まり、川を遡上するための準備に入 ります. 琵琶湖の風物詩「四つ手網漁」の季節です. 川に水が出たりすると、一気に群で上流を目指し遡上しますが、この時 期は地方によって差があり、九州では2月頃から始まりますが、本州で は早くて3月、盛期は4〜5月でしょう.琵琶湖の安曇川などでは「ヤ ナ漁」が見られます. この頃は「稚鮎」と言い、餌も小昆虫などの、動物性のものも食べるよ うになります. 河川の中流域まで遡上すると、主な餌としては石についた珪草=垢(ア カ)に変ってきて、やがて気に入った石に鮎の習性である「なわばり」 を持つようになります と、ここまでは琵琶湖や海からの天然遡上の話で、今はほとんどの河川 が春の稚鮎の放流に頼っていますが、天然遡上も放流された稚鮎も体長 10cmを越え、体には「縄張り鮎」の特徴である「追い星」(胸ビレ の上にある黄色いすじ)が現れてきます. 5月も半ばを過ぎると、縄張りに侵入する他の鮎に対する排斥もきつく なり、いわゆる「追う」、地方によっては「ぼう」という行動になって きます. 具体的には、鮎の急所である「肛門に向かって噛つきに行く」行動とも いえます. ここまで成長すると立派に友釣りの標的になります. 小鮎 443/447 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 友釣りとは (19) 91/11/09 18:46 一言でいえば、野鮎のなわばりにオトリ鮎を侵入させ、尾ヒレの後ろに 仕掛けたハリに引っ掛け、それを取り込む.これだけですね. 簡単ですが、「それがなかなか、、」と皆さんも思われますね.僕も思 います. では、なぜ「友釣りは難しい」と思われているのでしょう? いくつか箇条書きに上げてみます. 1.生きた鮎をオトリとして扱わなければならない. 2.長い竿と糸を縦横に操らなければならない. 3.時、場所、場合による対応がほぼ無限に必要. 以上の3点に尽きると思います. よく見てみますと、次の一点に絞られると思いませんか? すなわち、『習練』です (^_^) 経験、体験と置き換えてもいいでしょ う. 釣りは何でもそうですが、友釣りは特に習練を必要とします. つまり、釣行回数にある程度比例します. だって鼻環を通すことだけでも考えてください.1分もかかっていては、 オトリが弱ってしまいます.その人は10秒で通す人の、10分の1し か釣れないでしょう. では毎日のようにアユ釣りに行けない、一般の人にはうまくなるのは無 理なのでしょうか? 無理だと思います (^^;; 5年で大きな競技会へ出てくる人もいますが、そんな人は年間100日 以上、川へつかっている人でしょう. しかしそれなりに上手になることはできると思います. 1.川を限定する. 2.うまい人と釣行する. 3.足で稼ぐ. これをもう少し詳しく書いてみますと. 今週はあの川、来週はこの川とあまりいくつもの川を渡り歩かずに、あ る程度自分のフィールドを絞った釣行を心掛けること.それを少なくて も2〜3年続ける. 上手な人に同行してもらうのが、教えてもらえることと同時に、「オト リを確保してもらえる」点で最も重要.なぜならオトリさえ元気なら、 勝手に掛けてきてくれるからです.もう一点、とりあえずその場所で掛 からなくなったら、足まめに歩き回ることです. 歩いて歩いて、歩き回ると思いがけない好場に遭遇するものです. では反対にやっちゃいけないことを上げてみます. 上記と反対の行動になるわけですが、少し違う視点から書いてみると. 1.誤解に基づく「追わせる」という操作. 2.一ヶ所、一点で粘りまくること. 3.いくつもの川を渡り歩くこと. 4.仕掛けをあれこれ考えること. 実技編では、釣行回数が少ない人でも、早く覚えて実行してもらえるよ うな、「基本となるオトリ操作」を具体的に書いていきたいと思います. 小鮎 482/488 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 道具1 (19) 91/11/12 19:27 鮎の友釣りは「道具」、特に「竿」に占めるウエートが、かなり高い釣 りです. ですから少し腰を入れて書いてみます. 1.竿 ヘラのもじりさんは和竿の愛用者ですが、さすがに今のアユ釣りで竹 竿を推奨する気にはなれません. 地元の愛知川など、中小河川で「その人なりに楽しむ」道具でしょう. 私も一本所蔵していますが、今回は特殊な趣味の世界ということにして おきます. 今主流はご存じ「カーボン竿」ですね. いつかも少し書きましたが、このカーボンの質が年々上がっているのと、 その種類もわれわれが考えている以上に多いことに驚かされます. 値段でいうと、キロ1〜2万円から、最高級品はキロ80万円もすると いうことです. だからメーカーはそのカーボンの持っている特性と顧客に合わせて、い ろいろな調子と値段の竿を出しているのです. 同じ9mの竿でも2〜3万円のものから、20万円以上もする高級品ま でありますし、カーボンだけではなく、少量の金属性の繊維を織り込ん だものまであります. ではFFISHに出入りしている釣り好きな方が、友釣りを始めるには、 どの程度の竿を買い求めたらいいのでしょう? 特に中部地方など、大川、激流での友釣りが主になる所では、メーカー もそれなりの竿を用意しているのですが、今回は一般的な使用を考えた 竿の選び方について書いてみます.一般的なとは、これまたいい加減な 言い方で、実は的を得た答えにはなり得ないのですが、具体的、専門的 なことはまた「応用編」なり「実技編」で書きます. 前置きが長くなりましたが、僕が薦めるのは、以下のものです. A.長さは10m.「ハカマ」、あるいは「ズーム」によって9mに も使えるもの. B.調子は「中硬硬」か「硬調」. C.値段は10万円前後のもの. メーカーは始めのうち、あまりかまわないと思います. A.についてはこんなもんでしょう.もちろん中小河川専門に釣行され るのなら、8.1mでいいかもしれません. B.がポイントで、僕が一番言いたいところです. なにか柔らかい竿が初心者向きのような、僕から言わせれば間違った考 えが広まっているように思えます. 竿はしっかりした、少し硬いものの方がオトリ扱いは楽なのです. それと関連して、抜きの影響でしょうか、最近はバカをあまり取らない 人が多いですね.川にもよりますが、上手になろうと思ったら、始めか ら少し長い目のバカを取ることをお勧めします.最低1mは取ってくだ さい. その場合、穂先、穂持ちをはじめ、全体に少し硬い竿の方が誘導がやり やすいのです. 超硬までは必要ないでしょう.この竿が必要なのは中部に限られるでしょ うし、初心者にはオトリに対する「当たり」が強すぎます. 値段については異論のある方もおられると思います. 5万円位でも良いかもしれません.しかし始めの投下資金がある程度大 きいと、「止められん」と思うでしょうし. それにアユ竿の場合には、値段=性能の面も確かにあるのです. それと出来たらでよろしいですが、予備竿を買われることをお勧めします. 川で竿を踏んづけたり、流してしまうことはありがちなことですから. どこかの議長のように、人間もろとも流されることもあるのです (^^;; 小鮎 505/512 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 道具2 (19) 91/11/14 19:37 2.タモ 九頭竜川の漁師さんで一握りの人はタモを使わずに、オトリ交換からす べて素手でやる人もありますが、普通はどうしても必要な道具でしょう. ですがこれは、釣り人による好き嫌いのはっきり分かれる釣具ですし、 また釣行する川によっても便利なもの、不適当なものに分かれるようで す. 大きく分けて以下の2種類が上げられます. 京ダモ 読んでわかるように、主に京都で使われてきたタモで、他にはない特徴 を持っています.その一は形状がまったく違うこと. タモを形作る、竹あるいはその根で作った円形の部分と木製の柄の部分 が、ネジによって別れるようになっていて、その継とは強固な金属で出 来ている. タモの網の部分はサラシで作った、約40〜50cmの筒状になってい て、下にタコ糸をかいし、本絹の厚い布が付いている. 水を入れると最初は漏るものの、二回目からは絹の特徴である、水分を 含むと膨張する性質によって目が詰まり漏らなくなるという、まことに 不思議な性質を持ったものです. 特徴その二は、形状からもわかるように手で持つものではなく、ほとん ど腰に差した状態で使うものであること. 使い方も、掛かり鮎をすくうのではなく、オトリもろとも吊るし込むの です. 川に少し立ち込んだ状態でも、ちょっと腰をかがめることで簡単に水を 換えることが出来る、すなわち鮎を活かしておく、引き船代わりに使え るのです. 中小河川で、それも小型鮎を釣るのには移動の時などを含め、まことに 便利なタモなのですが、これには大きな欠点があります. それは深いところや、特に流れの早いところでは水による抵抗が大きく、 下手をすると命にもかかわる時があることです. 最近では普通のタモの網の下に、ナイロンの袋を取り付けたものなども 出回っています.これも同じ欠点があります. だから一部の河川を除いて、初心者の人にお勧め出来るものではありま せん. 風情はまことに素晴らしいもので、手作りの京ダモにハッピを着て、手 には京竿ときたら一服の絵になるでしょうが. でも私も最近はほとんど使わなくなりました. 素ダモ 下に網だけが付いたものを総称します. 一番多く使われているものですが、その地方によって特徴的な形状のも のや、使われている材質によって、無数の種類があり、一度に書くのは 無理のようです. 私は岡山県の高梁川で今も使われている、素朴で小さな木製のタモを所 蔵していますが、土地柄があらわれていておもしろいものです. で、その使用状況ですが、大きく2つの派に分かれていると思います. 従来派は天然木、カヤ、モロギ、ヒノキなどの枠を使い、絹糸や麻糸で すいた網を付けたものを愛用し、最近はやりのバカデカイ、ハイテクタ モを軽蔑するグループ. もう一派は最新のは軽合金で作った枠にパリっとした合繊の網を取り付 けた、たいそう大きなタモを使い、引き抜きに心酔するグループです. 皆さんには後に述べたグループのものでよいと思います. 何しろ安いですし、取り扱いは無造作でよい、メンテナンスは必要なし ときていますから、初心者の方には絶対のお勧めです. 値段は2〜3千円から、高いもので2〜3万円、従来派のものは最低で 2〜3万円はしますし、網を維持するために柿シブを使ったり、けっこ う大変です. しかし少しなれた方には、一つは天然木のタモを持っていただきたいで すね. 扱いは少々難しいですが、愛着が違います. うまく使えば15年以上は楽にもちます. 私も4500円で買った郡上ダモを15年使いました.16年目に折り ましたけど (笑). 小鮎 041/059 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 道具3 (20) 91/11/17 18:50 3.オトリ缶 別名、活かし缶とかアユ缶とか言われていますが、ようするに釣った野 鮎を活かしておくためのものです. けっこう大事なもので、次のオトリ鮎に使ったりするのには、元気に活 かしておかないと駄目なもので、ただ生きていたら良いだけではないの です. これまた、地方地方により特徴のある形や、材質のものが見られます. 一例を上げると、私の住んでいる地方では木製の取っ手の付いた桶を使 っていました. もちろん上部には竹枠の付いた網を取り付けるのですが. 私が使っていたものではなく、父親の遺品です. 父親はこれを自転車にくくり、鮎を活かして帰ってきたものです.木を 使うことで水温の上昇を少しでも食い止める為だったのです. * 現在使われている形状、材質は大まかに次のようになります. { 形状 } { 材質 } 丸型------上部に網の付いたもの------------銅、アルミ、ブリキ | -----通水のための穴のあいたもの------ステンレス、ブリキ (主に関東) 角型--------------------------------------銅、黄銅、ブリキ、プラスチック ではどのような材質、形状のものが優れているのでしょう. A.衝撃に強くて、変形しても元に戻せるもの. B.移動のときも楽なようにある程度軽いもの. C.水や川底に馴染みやすく、通水性の良いもの. D.容量のできるだけ大きなもの. 以上からふるいにかけると、ブリキ製の角型か、銅製の丸型が優れてい ると思います. 事実、値段が安いこともありますが、どこの川へ行っても地元の釣り人 が一番使っているのは、ブリキの角缶です. しかしブリキのものは、別にオトリ運びの容器が必要ですが、銅製の丸 缶には二重ぶたで、水がこぼれないように工夫したものもあります. 最近出てきた、FFISHにも愛用者の多いプラスチック製の角型のも のは、軽くて、鮎を活かしておく空気ポンプが付いているなど、便利な のですが、反面軽すぎて水に浮くので流される可能性があるなど、好み も含めあまり勧められません. 同じように、最近よく見かけるようになった銅製の角型のものも、大き さにもよりますが、水を入れるとあまりにも重く、実用的ではないよう に思います. 私も過去に長良川中央の美濃市へ釣行したおり、オトリ屋さんから川ま で歩いたのですが、あまりの重さにもう死ぬかと思いました. それ以来一度も使っていません (^_^) 確かに人目に好く質感もあり、いずれ手に入れるのであれば反対はしま せん. 値段ですが、ブリキの角缶は2千円、銅の丸缶は1万円から2万円、プ ラスチックの角缶は1万円前後、それに比べ銅の角缶は3万円から5万 円です. 4.引き船 「オトリ缶」と同じようなものですので、続いて書いておきます. これは釣った野鮎をいちいち川のヘチに沈めてあるオトリ缶へ入れ に行かずとも、流れに浮かせ、常に腰にひもで引くことによって、 その代用をさせようというものです. これも地方により、いろんな種類があります. 例えば九頭竜川で使われている、船の形をしたブリキ製で上部に浮力材 として桐を使ったものや、ステンレス製で100匹は入るであろう大型 のもの.その他、木製のものなど. しかしさすがに最近は、プラスチック製の丈夫で軽いものが出回ってき て、大体これに統一されつつありますね. ただ買われるときには、なるべく抵抗の少ないもの、ある程度容量の大 きなものをお勧めします. 水の抵抗は思っている以上に大きく、危険を伴うときもあるくらいです し、鮎は酸素要求が激しく、小さいものだと弱ることが多いためです. もっとも引き船は、多くのアユを長時間にわたって入れておくものでは ないことは常識ですが. 値段も手頃で、高くても1万円まででしょう. 小鮎 161/165 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 道具4 (20) 91/11/24 19:11 5.服装類 友釣りは川へ入るのを前提にした、特殊な服装類が必要です. 6月のまだ冷たい水の流れる川、8月のアカがくさってつるつるの川底、 コケればひどい目にあう角ばった石、などなどの為に. 今はいろいろなメーカーから、目にも鮮やかなタイツ類、タビ類が出回 っています. ウエダー 最近は機能的にも、はきやすく、脱ぎやすいようによく考えられていま す. ただ、あまりにもグラフィカルで派手なものが多いのは、中年友釣り師 としては少し残念ではありますが. 選ぶときの基本は、はきやすい、脱ぎやすいの他、生地の厚いものを求 めるのが良いでしょう.転んだ時などにも安心です. また、アセモが出来やすい人には、それなりの配慮がしたものもありま す. それから、下に女性用のナイロンストッキングをはいておくと、はいた り脱いだりするのがより楽になるようです. その他、タビとタイツが一緒になったワンピース型のものもあります. これは特に、中小河川の解禁直後や、末期の水温の低いときには便利で す.それと、少しの時間楽しむ方や、いちいちタイツにはき換えるのが 面倒な人にも薦めです. でもあまり大きな川で、立ち込んでの釣りには使わないほうが良いでし ょう.コケたりして胸元から水が入れば、体の自由を奪われることになり、 危険です. ゴムの長靴や、ウエダーは余計に危険ですので、よく考えて使うように しましょう. 価格は、5千円〜2万円位で、体に合わせてオーダーするものは、5万 円以上になります.始めは1万円前後のものがお薦めです. ウエダーは2万円位でしょう. タビ タビは消耗品です.釣行回数にもよりますが、ほとんど1年か2年で、 裏にはってあるフェルトが減って滑りやすくなってしまいます. 大きな川では、自分の命を預けているといって過言ではないものです. 安いものでも品質はそう変わらないので、早い目に買い換えましょう. 減った時に張り替えるように、フェルトだけが別売りされていますが、 相当根気良くやらないとしっかり接着しませんし、もし川で取れるよう だと大変です. できれば止めたほうが賢明です.その手間で新しいのが買えます. これも出来るだけ厚いものが良いでしょう. 価格は、4千円〜8千円位です. 上着、その他 上着は基本的には、乾きやすく、運動しやすいものなら、後は本人の自 由です. ジャージーの鮎用のものも出ています.釣具店で相談してください. ただ、白いものは極力避けましょう、鮎に警戒心を与えるといわれてい ます. ベストなども鮎用に、軽くて涼しいものがありますし、ベストのように ポケットがいくつも付いた、鮎用のジャケットなどもあります. 大川で胸まで浸かった釣りをする人には、ウエダーの上着が必要でしょ う. 体の冷えるのはすべてに良くありません.是非、たるみのない、ぴった りしたものを求めてください. ボウシ類も必要です.日差しを除けるだけではなく、水からの照り返し も予防でき、水中が見易くなります.個人的には、麦藁ボウシや飛騨傘 が好きです. そうそう、偏光眼鏡も必需品です. その他、雨具なども鮎用がありますが、普通のもので代用できます. タモなどを差す、ベルトも必需品.忘れるとけっこう慌てます.2つ位 は用意しておきましょう. 小鮎 177/183 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 道具5 (20) 91/11/27 19:46 大まかな道具類はこれまでにしましょう. 次ぎに小物類にうつります. これはアイテムが相当多いので、わかりやすいように箇条書きにしてみ ました. 主に重要なものだけをピックアップすることにします. 道具入れ 小物を整理して入れておきます.腰に付けるタイプなど、い ろいろ出回っていますが、出来るだけ水が入りにくいことを 考慮して、ショルダーバッグタイプがお勧めです.なるべく 短くして使います. 先糸 ナイロンの蛍光糸、1.5号くらいでいいでしょう.専用も あります. 道糸 これは鮎の友釣りにとっては、かなり重要なものです. 深いところや、流れのきついところの川底に、オトリという 生きた鮎を沈ませなければならない友釣りでは、水の抵抗を できるだけ少なくする必要があります. 残念なことにやはり優れたものは、それなりに高価です. バーゲン商品などには手を出さないでください.特にアユ用 の極細のものは、経時変化もバカになりません. 最近はダイワのメタセンサー、がまのGラインなど、いろい ろなメーカーから金属糸がでてきました. メタセンとGラインは使ってみましたが、今少し扱いが難し いようです.初心者には必要ないでしょう.また詳しくは後に. で、結局名の通ったメーカーの、0.2、0.3、0.4号 50m巻きを買い求めておけばいいと思います.個人的には 東レの将鱗プロがお薦めです. 価格は50mで2000円〜2500円、金属で15m、3 500円〜4500円. 鼻環 いろいろ出回っていますが、初期は内径7mmくらいのリン 青銅製のものが使いやすいと思います.後期や大鮎狙いには フック式の小小から中がいいでしょう.私はいつもフック式 の小小です.その場合、「左」を選びます. 価格は5個入りで、300円くらい.銀製というのもありま すね (^_^) ハリス 多少腰のある1〜2号程度を選びます.1.5号は万能です. これも鮎ハリス用として店頭に並んでいます.柔らかいもの は決して選ばないように. 初心者は、鮎を釣るより、地球を釣るほうが多くなります. 目印 最近は蛍光の毛糸を利用したものが売られています.これが 使いやすいです. ハリ 道糸の次ぎに重要.形は昔から受け継がれていたものがいい です. 万能の「狐型」、掛かりの早い「トンボ型」、掛かったら外 れない大物向きの「長良型」、「入間型」.いろいろありま すが、シーズンを通じて「狐型」でいいと思います. これの7号から8号までくらいを求めておかれると.私は @ 「がま狐キープ」という、三角軸の身切れに強いものを使っ ています、ハリ先も強いですよ. 価格は、20本入りにして300円から500円までです. オモリ ゴムの張ったもので、1号、2号、3号と持っていればいい です. ハリ入れ なるべく数多く入るものがいいです.その人の仕掛けによっ ていろいろ. 仕掛入れ 糸巻き状のものが使いやすいです. なお、最近は「友釣り仕掛け」や、「3本イカリ」、「4本イカリ」セ ットとして売られているものもあります.始めはこれを求められてもい いでしょう.品質も安定してきました. ハリを結ぶ糸は、使い古しの道糸を使うのもいいですが、少し糸に張り があるほうがくくりやすいので、私は絹の専用糸を使っています. 後はどのような釣りでも使っている、瞬間接着剤、はさみとかですね. なお、小さな「砥石」は買っておかれて損はありません. ハリが少なくなった時に、けっこう役に立ちます.しかし、使い方が少 し難しいですが. 小鮎 193/200 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 仕掛け (20) 91/11/30 19:59 道具はだいたいそろったとしましょう. 次に必要なのは仕掛け作りですね. 市売のものでもいいのですが、やはり自分が作るとなんとなく釣れる 気がしますし、安くつきます. はじめの難関はハリくくりでしょう. そのくくり方も1本バリ、ヤナギと3本イカリ、4本イカリとは違うの ですが、ここでは私の使っている、逆バリ固定式3本イカリのくくり方 を少し説明します. そうそう、逆バリが必要ですね.少し大きい目の袖型の5〜6号を使い ます.あまり細いのはお勧めできません.ショックで曲がり、手直しが 大変です. まず30cmほどのハリスの左端から2cmくらいのところに八の字結 びで結びコブを作っておきます.何かの時にハリがスッポ抜けるのを防 ぐためです. 次に右端から5cmくらいのところに、左指で、上に2本下に1本、イ カリ状にチモトを右にして持ちます.そして片一方を歯で固定したハリ くくり用の糸を、チモトからきっちりと、ハリの曲がっているところま で巻きます.最後は二重結びで留め、あまったところをハサミで切りま す.それを今度はハリスの左端の結び目まで移動させ、今度はハリを右 にしてハリから5cmくらいのところに、同じようにして逆バリをくく ります. 最後に2本イカリ状になったハリの一本を起こし、きっちりと3本のハ リが同じ角度にすえられているように調整し、チモトの部分から瞬間接 着剤を極わずか流して出来上がりです.逆バリも同じようにして固定す るのですが、鮎の大きさによってハリと逆バリの間を変える必要があり ます. 私は初期の18cm前後なら4.5cm、20cmになると5cm、そ れ以上は5.5cmとしています.下図参照. −−ハリ−−−−−サカバリ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ←4.5~5cm→ この仕掛けの特徴は、まず単純なこと. 自動ハリス止めなどを使うと大鮎による、ハリス切れやスッポ抜けなど のトラブルが必ずあります.さらに私はハリスを、鼻環に「引きほどき 結び」による直結にしています. これを使いだしてから、鼻環、ハリスによるトラブルはまったくありま せん. そして、逆バリ遊動式は止めたほうがいいでしょう.逆バリがオトリの 身を切ることによる一種の「アワセ」効果がなくなり、バレの原因にな ったりします. ただ弱点もあります.本バリと逆バリの間、逆バリと鼻環の間の調節が できないことで、使い込むには若干の経験が必要です. 最初のうちは自動ハリス止めを使うのもやむを得ないかもしれませんね. 次に全体の仕掛けです. 鼻環は、フック式のものですと小さな環が付いているので簡単ですが、 リン青銅製のものなどは、鼻環くくり糸による「二重角結び」を覚える 必要があります.それをここで解説するわけにはいきませんので、だれ か知っている人に教えてもらってください. 鼻環の上、約15〜30cmは道糸より1ランク太い糸を使います.こ の部分は力がかかったりパーマになりやすく、消耗品くらいに考えて場 合によっては新しく作り直します. 道糸は鮎の大きさ(重さ)、水の流れの強弱、水深によって変わってき ます. 普通、0.2号から0.4号くらいを3ヒロから5ヒロ使います.基準 として、18cmクラス、深さ1mで0.2号、22cmクラス、2m で0.3号、それ以上だと0.4号と考え、あとは経験を積んでくださ い.オモリを使うときには1ランク太い目を. それから上部は先糸ということで、1号から1.5号くらいを穂先まで. 最近は長さの調節できる「先糸仕掛け」が売っています.一度買ってそ れを参考に自作するのもいいです.バカを自由に調節できるので、かな り便利です.私も使っています. 小鮎 004/011 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 実技1 (19) 92/01/25 15:53 いよいよ川へ乗り出しましょう(^^;; 忘れ物はありませんかぁ. おっとっ、オトリと入川券を買うのを忘れないでね. ここでちょっとオトリの選び方を少し. 最近はどこのオトリ屋さんも、お客自らが選ぶのを喜びませんし、そも そも選ばせてもくれないというのが実情でしょうね. なるべくそうした店は避けて、ある程度自由に選ばせてくれ、親切な店 を見つけましょう.しかもその店と謙虚に付き合い、信頼を得るのも友 釣りにとって大事なことです. 何せオトリ次第ですから、友釣りは.もしも天然の良いオトリが手に入 ったら、その日の大漁は約束されたも同然です. さてそのオトリの選び方ですが、最近ほとんどは養殖鮎ですね. しかし場所によってもオトリ屋さんによっても違うでしょうが、わざわ ざオトリ用に作られた鮎を売っているところもあります.そもそも食用 とは用途がまるっきり違うのですから、当然と言えば当然.丸々と太っ ているのは動きが悪いですね. それも有る程度の期間、その川の水に慣れさせ体をしぼったものや、人 口河川で石を舐めさせた(アカを食ませた)ものまで出ています.いわ ゆる”天然仕上げ”といわれるものです. 出来るならこの手のものを入手出来ると良いですね. 元気な鮎は保護色になりやすいです.その水槽の底の色にもっとも近い のを選びましょう. 陽が差しているのに、黒々とした鮎は概して弱いです. 大きさはその川の天然鮎と同じようなものを選べなんて言いますが、私 の経験では小さいのよりも大きいものが強いですね.22cm以上もあ る養殖は駄目ですが. まあ18cm前後から20cm位が強くて、しかも扱いやすいでしょう ね. 大きな水槽から一度に多くの鮎を掬って選ぶのなら、タモがぎりぎり水 に浸かった状態にして上へ突き上げる力の強い鮎から選びます. 次に幸運にして天然鮎から選べる場合です. 少し注意がいります.まず掛かり場所を確認しましょう. まるっきり掛かり場所が確認できないのは駄目です.エラ、それも中の 部分に掛かっていた可能性があります.現在は元気そうにみえていても、 川へ連れていくとひどい目に合うことがあります. 一番良いのは背中から尻尾の付近、それも傷が深くないもの. 背掛かりが一番などと言いますが、瀬の強いところで掛けたものは希に 神経までハリが届いたものや、筋肉が傷んだものがいます.釣られると き、真横から強い水の抵抗を受けた鮎に見られますね. この手の鮎も元気そうに見えて川で泳がすと「くの字」になってまった く泳がず、えらく後悔するときがあります. その点、尻尾に近いところでは大丈夫です. 口掛かりも少し気掛かりですね.変形していたりしたら、水の抵抗でま るっきり泳げないものがいます.もっとも傷が浅ければまったく大丈夫 です. まあ最初の内はこの辺まででしょうか.経験を積めば頭に掛かっていよ うと、最悪腹掛かりでもそれなりに選ぶことが出来ますが. まあそんなところに掛かった鮎を、オトリに売る人もいないでしょうが ね.オトリ屋さんもちゃんと見てますし. おっと、オトリの数ですが、最低2匹は求めましょう.オトリに鼻環を 通す瞬間に逃げられることもあるでしょうし、少し深いところへ誘導し た途端に根掛りということもあります.初っ端から川から上がり、また またオトリ買いに走るのではいやになりますよね. 買ったオトリの運搬方法ですが、やはりミニコンプレッサーが付いたオ トリタンクか、水がこぼれないようにしたオトリ缶が良いでしょうね. 近くなら車のボンネットに新聞を水に浸して広げ、その上にオトリ缶を 置くという手もありますが.これ、滑りませんよ、ほんと.ただし丸缶 の場合だけですが. 小鮎 084/095 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 「川取り」 (20) 92/03/16 19:54 コメント数:1 さあ、やっと川へ入れます.待ちに待った、、(^_^;) その前に、先に書いたオトリ選びについての時に書き漏らしましたが、 手でオトリを触る時には、まず手を水に浸け、少し冷やす習慣をつけま しょう.人間の体温は高く、そのままで鮎に触れると、弱る可能性があ ります.ものの10秒程でいいですから. そして、やや強引と思われる位に扱いましょう.長くべたべたと触って いるより、よほどこちらの方が鮎にとっても幸いです. オトリ屋さんもこの動作によって、その釣り人の経験と、実績を測るも のなのです. 今回も釣り始めるまでに、まず運んできたオトリ鮎のことを考えます. オトリ屋さんの水槽と、実際の川の水温とでは、相当な差がある場合が ほとんどです. だいたいオトリ屋さんの水槽は、地下水や、近くの谷水を利用している ので、水温が低いのが通常です. 運んできた距離、時間はどうだったでしょう?長ければ、これも水温上 昇につながりますし、オトリも多少弱っているかもわかりません. まずオトリを20分は川に慣れさせましょう. 川の水温の高いときには、出来るだけ深く、そして流れのある場所に沈 めます.当然オトリ缶に入れたままでね.鼻環を付けてからは駄目です. それから、その場所に入るのが初めてなら仕掛けを作る前に、少し高み があればその入った場所の上下流を観察します.500m前後は大雑把 に見ておきます.上は淵か瀬か、その大きさは、瀬の流れはどうか、石 は大きいか、小さいか. 次に、実際にその上下流を見て回ります. まず淵を見ます. その淵は大きいですか?底石はあるか?出来れば水中眼鏡があれば最高 です.なければ、見える範囲でいいから観察します.石の大きさもよく 見ます. もしその淵が深く、大きく、岩盤があって、底石も大きな物がしっかり 入っていれば、これは最高です. ではこの淵をベースにして、今日一日の「川取り」を考えます. 昔は「朝瀬、昼トロ、夕登り」といい、朝一番は瀬肩から瀬、昼間は淵 などのトロを攻めて、夕方は淵からの「出食み(でばみ)鮎」(淵の遊び 鮎も夕方には瀬の新鮮なアカを食みに出る)を狙うのが常道でしたが、 最近ではこの格言も怪しくなってきました. まず第一に、瀬肩ではまったく追わなくなったことが上げられます. 釣り人の増加で鮎も警戒心を常に持っていて、瀬肩の鏡のようになった、 見られやすい所を敬遠する傾向があること. 次に、しっかり石の詰まった淵がなくなりつつあること. 開発などで、砂で埋まった所が多くなった. トロ場もしかりで、最近の大量放流で遊び鮎が増え、追わなくなったこ と、などが上げられます. しかし反面、大量放流と、放流稚鮎の質の低下によって、どうしても鮎 が淵に溜まってしまう傾向が強くなってきたのも事実. そこで、「良い淵」を見つけたら、最高となるわけです. その淵をを基点にして、朝はその上下流の瀬肩抜きの瀬の真ん中所から 淵の落ち込みまで.次に大本命の「淵の落ち込み」. 荒く、深い落ち込みならオモリも必要でしょう.そして太陽が高く上が ったら、淵の中を泳がせで攻めます.また人が少なければ、淵尻の「か け上がり」を静かに、体を引いて泳がせるのも効果的です. 人が多い川では、あえて瀬肩は捨てましょう. と、ここまでを実際に川を見て、竿を入れる所をイメージします. これを「川取り」といいます. こんなことは、解禁日には出来ませんね.あくまでも普段のことです. 解禁日には迷うことなく、「瀬」を選びます.これは絶対. 中程度の長さと、荒さを持った瀬に入ればまず間違いありません. 繰り返しますが、まず「淵」、次にその淵への「落ち込み」. これが私の考える、川取りの基本です. だから少し初心者には難しくなりましたね、今の友釣りは. 小鮎 272/279 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 「送り出し」 (20) 92/04/06 18:53 コメント数:1 さあそれではいよいよ始めましょうか. オトリも十分川の水に馴染んだようだし. まず腰に差すか、あるいは足の間にでも挟んだタモの底の部分を川に浸し、 鮎缶もろとも、ざぁーとあけます. 間違っても鮎缶の中に手を突っ込んでごそごそ掴もうとしないこと.なるべく 手早く、そして出来るだけオトリに手を触れないことです. 天然の元気なのがいて、飛び出すか不安なら、タモの底をわずかに水に触れる くらいにしておけば、その恐れはありません. もし、飛んで出る危険があれば、すぐにタモを水から上げればいいことです. タモの中で選んだオトリ一匹を残し、後はオトリ缶へ戻しておきましょう. さて、いよいよオトリに鼻環を通すのですが、その時の姿勢をチェックしまし ょう. まず道糸の絡みをチェックし、次に竿を肩に担いだ状態で鼻環を通します. これは、鼻環を通し放したオトリの動きに、すぐに道糸や竿を反応させるため です. 鼻環ですが、出来るだけ「手前から、向こうへ」思い切って、突き刺すように 通します.「手前から、向こうへ」通すのは、オトリ鮎を持ちかえる必要がな いからです. つまり、左手の小指から中指3本でオトリを抱き、人差し指と親指を使って鼻 環を留め、鼻環から放した右手で逆バリを通すのです. やっていくうちにわかると思いますが、手返しが非常に早くなります. 元気なオトリならすぐ沖へ走るでしょう.川へ帰されたと思って. やおら立ち上がり、道糸と竿をオトリに追随していけばいいのです. 不幸にしてオトリが沖へ走っていかなかった時の対応を書いておきます. 初心者の頃はこの状態の方が多いでしょう. まず前提としてその場所を「瀬」で、バカが1m以内だと仮定します. トロか、バカが1ヒロ以上もあるなら、元気なオトリに替えるか、待つか、瀬 へ移動するかの何れかです. 1.その場所で横になった時. トロと同じ対処になります. 万が一替えるオトリもなく、元気を快復するのが無理と感じたら、荒 瀬か岩盤のぶつかりに移動し、大き目のオモリを鼻先すぐに噛ませ、 一発勝負に出るか、最後の手段としては、オトリを持って沖に投げる ことも最悪やります.私も何回かやったことがあります(^_^). 2.2〜3m出ていった所で止まってしまった時. イ.一服煙草を吸う時間、待ってみる. ロ.上流へ移動し、穂先を突き上げ、強引に瀬の中に誘導する. 鼻を水面から出すようにしてやります. ハ.逆に下流へ移動し、下へ引っ張るように誘導する.これはかなり 有効. 注意点として、ハリが絡まないようにします. 基本的な考え方としては、「待つ」ことが最良です.待てる人は巧くなるでし ょう. それと関連するのですが、「鮎は天の邪鬼である」ということです. トロで1ヒロ以上のバカを取って「泳がせ釣り」をやったことがある人ならわ かるでしょうが、オトリを沖へやろうとして竿で引っ張ったり、自分が沖へ出 ていったりするほど、手前に寄ってくるものです. ひどい時など、自分にまつわり付かれて、挙げ句の果ては足にハリが引っ掛か り、うまく取れずに泣く泣く岸へ引き返すことがありますね.. だからなるべく「待ち」に徹することと、沖へやる場合には、逆に手間への方 へうまく穂先のアクションを加えてオトリの天の邪鬼を利用する方法がベター です. この場合、道糸にかかる水の抵抗を合わせて利用するのが普通です. 少し難しくなりますので、この点については応用実技ででも詳説します. では今日のまとめです. 余裕を持とう.待ちは釣果に直結する. 鮎は天の邪鬼である.動かしたい逆のことをやってみよう. 時に即断実行も必要である.うじうじ考えずにデカいオモリでドブンと沈める ことも必要である. 小鮎 326/328 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘(イザナ)い』−友釣り− 「オト (20) 92/04/11 17:29 何とかオトリは川に入っていってくれ、いよいよ野鮎の追いを待つ体制にな りました.まだまだ狙いの石にオトリを誘導するような、高等技術を使う必要 はありません. 逆にオトリの動きに逆らって誘導すると、負担をかけるばかりで、オトリの弱 りを早め、ひいては野鮎の追いを遠ざけることになります. 今のオトリの位置はどこでしょうか. そうそう、目印は蛍光の毛糸がいいでしょう.それを2〜3ヶ所程道糸に括り つけておきましょう.色違いがいいでしょう.光の当たり方によって、見易い もの、見難いものがあります.経験で見つけていってください.私は下にグリ ーン、真ん中にピンク、一番上にまたグリーンを2〜3センチに切って使いま す. それを、1つは水面上、約1mくらい.もう1つは、それより少し上に括りま す. 浅いようなら、2つ目の目印は2〜3m離れていてもかまいません. 今の川の状態では、普通透明性に欠けるため、しっかりとオトリの位置を見極 めるのは困難でしょう.目印とオトリとの間隔から想像するしかありません. もし瀬が余りきつくなく、オトリが穂先よりも沖に、つまり道糸が沖に向か って斜めになっているようなら、これはしめたものです.掛かったも同然. 道糸を引かず、緩めずで、オトリ任せにしましょう.竿はできるだけ立て気味 にして. 追いが無いようなら、そのままの位置から、竿を寝させ気味にして、上流へ誘 導します. 竿先と直角の位置にいるのなら、オトリからの抵抗を竿に聞きます. 穂先の曲がりを見、竿に響く抵抗を読みます.しっかりと流れに馴染んでいる なら、穂先は余り曲がらず、竿からの抵抗も無いはずです. もし不安なら、道糸をほんの少し緩めてください.その緩みがそのままか、あ るいは少し引かれる程度であるなら、オトリは流れに馴染んでいるはずです. もし、それと逆に、穂先は大きく円弧を描き、竿にはびしびしとオトリからの 抵抗を感じるなら、竿を一度、水面すれすれに寝させてください. それでも抵抗を感じるのなら、今の状態で友釣りを続けるのは無理です. もっと緩い流れに移動するか、少しヘチを狙うか、オモリを使うかでしょう. 最初はヘチへオトリを移してやってみましょう. しっかり水に馴染んでいるようでしたら、じわり、じわりとオトリを上に引い ていきます.よく本に書いてある、引くスピードのことなど、考える必要はあ りません. 要はオトリからの信号を見落とさずに、ゆっくりと引いて上がればいいのです. オトリが抵抗を持ったら、必ず竿先と手に感じます.その状況を、「オトリが いやいやをしている」などと私はいいます (^_^).いやいやいいながら、首 を振っている状況です.これは「見掛け」をするとわかりますが、実際に首を 振っているのですよ. その時は絶対にそのまま引くのを止めないと駄目です. もしそのまま引いたとしたも、オトリの動きにぎこちなさを与え、野鮎の追い は期待できないし、オトリを弱らせます. 少し道糸を緩めて待つか、竿を少し寝させてみましょう. もしうまく動いてくれたら、一度川底へ目を移してみます. 底には大小の石があります.オトリの想像位置が、黒く、大きく、ピカっと光 っているような石の場所にいるようなら、しばらく動きを留めてみましょう. スムーズに動くのなら、少し「すっと」竿を引くこともいいです.簡単な誘い ですね. 始めのうちはこのように、あまり誘いなどは考えずに、うまくオトリを流れに 馴染ませ、上へつれて上がることからやるといいですね. またこれは、友釣りの基本中の基本です. オトリをある程度スムーズに上流へ移動できるのなら、次回は「誘い」につ いて書いていきます. では今回のまとめ. 道糸を斜めに、沖へ向かって使えるように努力しよう. オトリを静かに上へ引いて上がろう. オトリが抵抗をしたら、「待ち」、そして「寝竿」. 馴染んだら、できるだけ「立竿」で釣ろう. 小鮎 369/377 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り−「誘い」上 (20) 92/04/14 15:52 最近の傾向として、「誘い」を重視する風潮があります. 特に、初心者の人にこの傾向が強いようです. いわゆる名人といわれる人が出している、ビデオや雑誌の影響が強いのでしょ う. 「基本」の部分に関しては否定はしませんが、「誘い」に及ぶに至っては、手 慰みくらいに思ったほうがいいかも知れません. ただ、いつも釣行する河川での実技ビデオなら、ある程度参考になるかもしれ ませんが. 友釣りは余りにもパターンが多く、すべてをテキスト通りに実行することは不 可能です.例えば一例として、「何とかスパイラル釣法」などというものがあっ たとします. やり方としては、穂先を使ってオトリをくるくると石の回りを舐めるように移 動させる技術だとしましょうか. これを、例えば長良川の荒瀬で、しかも流行の「背バリ」を使ってやったとし ます、すると水中では、オトリは中間を逆立ちして引っ張られているか、背バ リの部分を支点にして鮎の胴震いが演じられているか、どちらかでしょう. ましてや、中硬などという竿でやった日には、オトリは1m程も上下流に移動 し、とても友釣りをやっているという部類にさえ、入らないことになります. オトリを10匹買っていっても足らないでしょう. お分かりでしょうが、逆に長良の激流では、オトリを一点に止めることこそが 必要なのですね.そして、そう、前回お話したように、オトリを「引く」ので す. これは少し極端な例になりましたが、たまにやっている人を見るものですから. だったら、どのように「誘い」を考えたらいいのでしょう. 私は、本来友釣りに「誘い」などは必要がない、とさえ考えています. 長く「見掛け」をやった経験で、「鮎は鮎を追う」という、なんか訳のわから ん結論に至っています.一生懸命オトリを、上下左右、尻振り、逆立ち、、い ろいろやっていても追わない野鮎が、すっと近づいた一匹のちっちゃな野鮎を どれほど激しく追っているか. つまり、「オトリ」はあくまで「囮」、どれだけ巧く操っても、所詮野鮎には なれない、それなら、鼻環を通し放した瞬間から、オトリを操っているのだと いう、傲慢さを捨てることがよい、ということなのです. そうです、これは「泳がせ釣り」ということになります.ただ、できるだけ、 止めたり、誘ったりしない、本来の「泳がせ釣り」です. しかし、そこには当然釣り人の願望がなければなりません. あのコース、あの場所、あの石と、、.オトリにはきっちりと意志を伝える必 要があります.それが竿さばきだと思います. で、私が考える「誘いに近いもの」とは、「オトリ鮎を、川と平行に使わない」 ということになります.言い方を変えれば、オトリに川を横断するように走ら せる、ということです.この為の竿さばきなどは、後日書きます. でも、これもどこの場所でも、いつでも通用する方法ではありません. 当然、荒瀬では長くはできませんし、オトリが少し弱っただけでも駄目です. また、川幅のあまりない場所では不可能ですし、そんなことを考えずとも、入 れ掛りの状態もあるでしょう.これも、所詮一介の技術論となりますね. しかし、常にこの考えを持っていれば、このような場所を選ぶこともできるで しょうし、この釣り方に精通することで、他の場所での応用も利くようになっ てきます. 少し踏み込んだ具体的な作法については、次の発言を見てください. では今回のまとめです. 映像はあくまで見世物、他所で通用するとは思うな.実地は自分の経験と勘. 誘いなどは考えずとも、鮎のことは鮎に聞こう. オトリは川に対して斜めに使おう. 小鮎 370/377 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り−「誘い」下 (20) 92/04/14 15:53 具体的な誘いについて、2〜3書いてみます. 通常の状態、これがまた難しくて、どれが通常の状態かという特定ができない のですが、普通の瀬で、竿は寝た状態、オトリ鮎もそこそこ強い状況で、道糸 は張っていると仮定して話してみます.箇条書きにしました. 1.竿先を、少し急に上げ、ふっと緩めるように元へ戻す. これはよく書かれている方法ですね.つまり竿を上下にあおるのです. 上げる距離はほぼ底石の大きさとします. つまり鼻先を急に上げられたオトリが、緩められた時に流されまいと抵抗し、 底へ戻ろうとするため、丁度逆立ちをするように尾ビレを振る、これが誘いに なるのです. 確かにこの方法は一番効きます. 底石の上、30cmが限度で、これ以上引き上げる必要はありません. 竿に追いを感じたけれど、なかなか鈎掛かりしない時には、かなりの効果を発 揮します.ただし、しっかりとオトリが流れに馴染んでいるのが必要で、上げ る瞬間、抵抗を感じたら止めること. いろいろ応用もできます. 例えば竿先を元に戻さず、少し下手に送ってみる.逆に少し上手に引く. オモリを使ってもできます.これを連続してやるのを、ノコギリ釣法とかいい ます. つまりノコギリの歯のように、ぎざぎざにオトリを操ることです. 木曽川日本ラインでよく使われています. 2.竿を持っている手を持ち替え、下手手前に静かに引く. 左右の手を持ち替えて竿を岸側に倒し、今オトリが入っている場所から下手、 岸側を斜めに探る状態です. 丁度、下手沖から、岸寄りに、扇を描いていくといえば分かりやすいでしょう か. ゆっくり、抵抗なくできれば、相当な効果を発揮します.特に大川などで立ち 込み釣りをしているときに有効.だだっ広い所ででもいいでしょう. 九頭竜川で効果てきめん.探る面積が格段に広がる. しかし欠点として、無理をしてやるとオトリが底掛かりしやすいことと、鈎が 絡みやすいことです. 3.竿を突き出したり、逆に縮めて、探る流れの筋を変えてみる. これは分かりやすいですね. 単純な方法ですが、特に大川の荒瀬を攻めているときには、意外に効果を発揮 します. 長良では「ミド」を攻める、といって、流心を釣るのが最良だと思われている のですが、天然遡上物はその通りだとしても、今の稚鮎の質、大量放流状況な どから、かえって流心を避けたほうが、鮎は多かったりします. 一度試してください. どこかのメーカーの「ズーム」竿などを使うとやりやすいかな. その他にもいろいろあるでしょうが、いずれにしろ、いいオトリを確保する ためと割り切って、もし釣れたら上編に書いたように、「鮎まかせ釣り」に戻 ることをお進めします.なぜなら、今回書いたことは、2.を除き、オトリを 縦に使っていることに他ならないからです. かなりの荒瀬でも、オトリを静かに岸から放してみると、意外に近場で掛かっ てあわてることが度々あるものです. 最後に、これは後の竿さばきに関係してきますが、オトリがかなり強いことを 前提にして聞いてください. 釣り人自らが少し下手へ移動します.丁度オトリの入っている対角線上くらい に. それから竿を立て、道糸に水の抵抗をもろに与えます. それでもオトリが流されたり、浮いたりしないのなら、もう少し下手に移動し 竿も下手にやや傾け、下手に引かれる抵抗を一段強めます.その時、微妙に鮎 の鼻先に竿先の抵抗を重ねるようにしてください.場合によっては、目印を水 につけ、その抵抗まで利用します. もしオトリが強いのなら、上手、沖にじわりじわりと進むはずです. 次回は引き抜きを含む、「取り込み」について. 今回のまとめ. オトリの上下動を利用しよう. たまには竿を短く使って、探る筋を変えてみよう. 広い川なら、オトリを扇型に使ってみよう. しかし、最良はオトリを斜めに使うことです. 小鮎 387/398 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り−「取込」上 (20) 92/04/16 15:37 おっ、掛かったようです. 朝一の野鮎です、何とか無事に取り込み、新しいオトリとして使いたいもので す. いつも使われる言葉ですが、友釣りは循環のゲームです. これは単に、釣れかけたら連続して釣れるという次元の話ではなく、掛けた野 鮎が即、最高の、いうなら餌として使えるのですから.しかもこの鮎は次に掛 けようとしている野鮎と顔見知り(^_^)、言葉を変えれば喧嘩相手の可能性が 大です、おそらく同じ場所で釣るでしょうから.結果は明らかなように、この 喧嘩相手もこっちのものと、、. 特に朝一は、おそらく今使っているオトリは養殖物でしょうから、これが天然 に変わるか、それともこのまま養殖を使い続けるかの瀬戸際です. やはり普通では丁寧に引き寄せ、取り込みたいものですね. では、引き寄せて取り込む方法から書きます. まず大事なことは、竿を入れる時すでに、どこで取り込むかを決めておくこと です. ずっと緩い流れの所ならあまり関係ないでしょうが、荒瀬や瀬肩などでやって いると、取り込む位置が見つからずに、慌てることがあります.それも思わぬ 大物だったとしたら、下手をすると道糸もろともぷっつんということさえあり ます.前もって心構えをしておきましょう. 掛かった鮎がそう大きくないようなら、竿を立て気味にため、まず掛かり鮎を 前もって決めておいた取り込み地点へ誘導します.それから自分が余裕を持っ てその地点に向かうというのがいいでしょう.もちろん荒瀬などでは、竿をた めながら同時について下がる必要も出てきます. もし掛かり鮎が大物だとしたら、竿を立てるのは駄目です. 竿を立てたら鮎は水面に上がってしまいます.水面に近いほど水の流れは強く、 一気にその流れに乗ってしまいます.竿を伸されては今の細糸では、もたない こともあるでしょう.その時はまずその場で竿を上流側に寝させた状態でため、 上竿のまま下がりながら手前に寄せてくるのが正解です. そしてフィニッシュは竿を肩に担いで、両手で道糸を手繰り、摘糸、場合によ ってはハリスを掴んで腰のタモを抜き、吊上げるように水を切ってタモに落し 込む、これが常道でしょう.大事な点は、オトリになるべく近い所を持つこと と、決して水中の鮎を掬いにいかないことです.これをやると、また鮎を驚か すことになって、走られたりハリが外れて、最後の最後で泣きを見ることにな ります. それと、大物なら余り強く道糸を掴まないことです.いつどのような反撃に出 てくるかもわかりません.摘糸やハリスに手がかかるまでは、人差し指と親指 で軽く掴み、いつでも道糸がすっと滑って出たり、放せるようにしておきます. 超大物の場合は道糸に手をかけるのは最後の最後にします. 道糸を持った途端に切られてしまうことが多いからです.できるだけ竿の弾力 を使い鮎の力を弱め、最後の取り込みは0.6号以上の摘糸か、それともハリ スを直接掴み取り込みましょう. 私はこれに失敗して、過去に尺上の巨鮎に切られています. 今回のまとめ. 朝一はやはり大事に取り込もう. 前もって取り込む位置を決めておこう. 水中の掛かり鮎をタモで掬いにいかない. 大鮎は竿であしらい、道糸には手をかけない. 小鮎 389/398 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り−「取込」下 (20) 92/04/16 15:51 次に引き抜いて取り込む方法です. これは幾つかのパターンがあります.主にバカの長さが影響します. 竿も短く、バカも余り取らない場合には、ぽんと上に抜いて、下に構えたタモ に受けることが多いですね. 私の地元の愛知川では昔はこの方法でした.それ以外に飛んできた道糸を手で 掴み、タモに落し込むやり方もあります.京ダモのように、始めから吊るし込 むことしかできない物ではこの方法になります.私も昔はこれでした.しかし、 鮎が大きくなると、道糸の反動をうまくそらさないと切れてしまいます. 今はその当時より道糸が細くなっていますので、難しいでしょう. 少し川も大きくなり、竿も長くなって、ある程度バカも取っているとなると、 上のやり方では無理になります. 竿を上に突き上げ、鮎を流れに乗せてある程度下げ、オトリが顔を出したタイ ミングを見計らって飛ばし、顔の横当たりに構えたタモに受ける. バカが長いようだと、二段で抜かないと手前に落ちてしまうかもしれません. 一度抜き、途中でもう一度竿を後ろへ倒し、落ちかけた鮎を引き上げるのです. もっと川も大きく荒く、おまけに鮎も大きく、相当バカを取っておかないと溜 められないような川では、近くで掛かったとしても、大きくシモへ下げ、竿と 道糸が90度以上の角度から、一気に竿を突き上げるように飛ばして受けなけ ればなりません. これは岐阜の代表的な大河川、長良川郡上、益田川中山七里、木曽川日本ライ ンなどでやられている方法です. この場合オトリと掛かり鮎は一直線を描いて飛んできます.もしオモリを使っ ていたら、オモリ、オトリ、野鮎の順番にバサバサとタモに入って来ることに なります. 私の懇意にしている飛騨金山のオトリ屋さんが上手です. この人は飛ばしてくる途中に岩などの障害物があっても、竿を巧みに使い、そ れを避けてタモに受ける、、そうです、、この場面は私は見たことはありませ ん、自分自らがおっしゃっていることです(^_^).しかし確かに大オモリの郡 上抜きは巧いですよ. まあ長良の商売人(職漁師をこう言う)は皆やりますが. 私は上2つの中間くらいでしょうか.バカはその時の竿にもよりますが、超硬 で約1ヒロ、硬調の時で約1〜1.2mくらい.なかなかバサバサという訳に はいきません. 鮎もこういった河川では大きく、場合によっては27〜28cmクラスまで抜 くことになります.その時には波を利用します.上げ波に乗せ、抜く場合もあ るのです. 私は26cmまでしか抜いたことはありません、それ以上なら下がる(^^;; 最後に九頭竜返しについて少し. この取り込み方は九頭竜川独特のものです.つまり、胸までも水に入った状態、 しかも数釣りが主体で、手返しの早さを求めると、この方法がベストなのです. やりかたはご存じのように、道糸を竿一杯か、やや詰めた長さで、掛かればそ の場から一気に抜き、自分より上流側にオトリもろとも落とし、流れてくる鮎 をタモに落とすのです. そのさい、着水のショックを和らげるために、一度後ろへ倒した竿を、上流へ オトリもろとも落とす瞬間に、下流側へ返すところから「九頭竜返し」と呼ば れます. 私の会のメンバーにもこれの上手な人が何人かいます. やってみるとそれ程難しくなく、確かにタモの中へ受けるのと比べると手返し が早くなります. ハリがタモの糸に絡んだりしないし、道糸が短いので扱いやすい、オモリを常 に使うので失いにくい、などの特徴があります. 九頭竜の専門家は、タモを使わないか、小さなタモを腰に固定してやっている 人が多いですね. 引き抜きはどの方法にしろ、かなりの経験を積まないと難しいのですが、取り 敢えずやらないと巧くならないのも事実です. 失敗を恐れず、果敢にチャレンジするのがいいと思います. しかし、私個人の意見では、この引き抜きが盛んになったために、バカを余り 取らずにやる人が増えてきました.今の軟弱な竿では、それも無理からぬとこ ろもありますが. その結果、トロ場で1ヒロ以上のバカを取って、縦横にオトリを走らせたり、 また、繊細な釣りをする人が少なくなってきたのも事実です. 何もすべてを引き抜きで取り込むことはないのです. どうか、画一的ではなく、その釣り場にあった、自分の個性にあった取り込み を会得してもらいたいと思います. 今回のまとめ バカの長さ、竿の硬さによって抜く方法が違う. バカが長いなら二段に抜こう. いずれにしても実行あるのみ、果敢にチャレンジを. しかしかっこいいからといって、引き抜きだけにこだわるのはナンセンス. 小鮎 444/457 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り−応用編1 (20) 92/04/23 19:41 コメント数:1 前回迄で一応、基本編は終わったことにします. 今回からはいよいよ応用編へと入ります. しばらくは、各ポイント毎の攻め方を詳しく書いていきたいと思います. その1回目は、始めに私が推奨した、「落ち込み」の攻め方から. その前に、この文の前提となり、私がイメージを描いている河川につい て一言お断りをしておきます. 当然過去に何度となく釣行した河川になりますが、主には私のホームグ ラウンドともいうべき、長良、益田を始め、揖斐、馬瀬、九頭竜、木曽、 日置、日高の各河川が該当します.しかし、この河川群でも下流部は趣 が相当異なります.中流部から上をイメージしているとお考えください. 「落ち込みの攻略方」 今一番釣果の安定しているのは、「落ち込み」でしょう.「淵頭」と言 い換えてもいいです. 特に荒瀬が大きな淵に白泡を巻いて流れ落ちているところや、かなり急 で長い瀬が、大きく開いているところ、「開き」ともいいますが、絶好 のポイントだと思います. 釣り方も一部を除き、そんなに難しい技術が必要なところでもありませ ん. 問題は、波立ちや水深の関係で底が見えないということで、不安感があ るというでしょう.もし、底掛かりしたらどうしよう、、底にはちゃん と石があるのだろうか、、など. 底石の有無は、回りの状況を判断してある程度めどがつきます.すなわ ち、見える範囲の石が大きく、流れ落ちた後の水の勢いもしっかりして いることなどで. 逆に所々砂が堆積し、急激な落ち込みで深く掘られ、その下流はトロを 形成しているところなどは、底石が砂で埋まっていたり、上下方向の水 流、巻き込みを作っているところが多く、砂が巻いてアカが付きにくい ので、鮎はあまり寄り付きません. 後は思い切って、場合によってはオモリを使い、水流に乗せてオトリを 下げ、静かに引き上がるだけです.問題はしっかりオトリを底に沈める ことです.ナマリは2〜5号程度を用意しておきます. 岸近くでもしっかりした流れがあるのなら、静かに手前から泳がせ気味 に誘導していくのもいいです. 落ち込みの間際はあまり期待できません.少し開き気味のところがいい です. かなり難しいのは、竿の届かないところに落ち込んだ後の流心が形成さ れ、手前はトロになっているところです. 益田川の中山七里など、大岩で形成されている河川によく見られます. この場合には「背バリ」が有効です. かなりバカを長く取り、元気なオトリに背バリを打って、少し上の対岸 の方向へ鮎の頭を向け、放します.この時、少しの間、鮎の両目を左手 の親指と人差し指を使い、目隠しをしておくのも有効です.10秒ほど 静かに押さえておいて、ぱっと放すのです. 鮎はしばらくして、一目散に頭の向いた上流対岸目指し走ります. その時にはすっと竿をついていける準備をしておくのは当然です. そして対岸の流心へ入っても、打っておいた背バリが役に立って流され ることもなく、場合によっては、その流心を突っ切るかもしれません. こうなれば必ず掛かるでしょう. こんなところ以外では、背バリではなく、オモリを使用することをお進 めします. 落ち込みはかなりの流勢のところが多くてオトリが弱りやすく、あまり 長い時間をかけるのは得策ではありません.こういった場所の野鮎は縄 張り意識が強く、おれば必ず追います. オトリがしっかり底になじんでいて釣れないのであれば、底の状態が悪 い可能性があります.その場合はさっさと違う場所に移動するほうがい いでしょう. 川の状態は最高なのに追わないのであれば、時間を午後からに変えても いいです.一概にはいえませんが、水温が上昇してからの方が追いがい い場所でもあります. 時期もあまり解禁当初ではなく、盛期のほうがいいです.でも、長良な ど、天然遡上のある河川では、一番上りの天然が好んで付くところでも あります. 長良川では、地元の釣り師が集中している場所で、なかなか遠来の釣り 師は入れてもらえないほどです. 今回のまとめ 底の状態は回りをよく観察して判断しよう. ナマリを使うのに躊躇しない. 長居は無用、釣れなければさっさと場所を変えよう. 小鮎 514/523 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り−応用編2 (20) 92/05/01 11:12 コメント数:1 今回は私が「落ち込み」の次に推奨した「淵」、それに続く「かけ上がり」の 攻め方について書いてみます. 「淵の攻略方」 最近悲しいことに、上流部のスキー場の開発や、堰堤工事などによって砂が入 り、いい淵が次々消えようとしています.だから「落ち込み」以上に底の状態 には気を遣います. もちろん底が見えるような深度なら問題はないのですが、いい石が入っている かどうかは、なかなか見極めが付きにくいでしょう.余りにも流れが無いか、 緩いところは断念したほうがいいかもしれませんね. そういった淵では最深部ではなく、次の瀬に続いている「かけ上がり」か、岩 盤があれば、そちらを狙うことになるかもしれません. いずれにしろ、余り釣り人の入りやすいところではないので、思わぬ大物が竿 を曲げたり、入れ掛りの体験を味わうことになる可能性のあるところです. 私の経験では、その淵の中に、一本のしっかりした流心が形成されているとこ ろは、大概底石が入っています.増水のたびに底が洗われる可能性が高いから です. 時合は昼間、時期は盛期です.特に渇水期には、太陽光線が届きにくくてアカ が腐らず、相当有力なところです. 淵が小さければ、静かに近づきましょう.オトリは当然釣りたての天然です. それが無い場合にはさっさとあきらめるほうがいいかもわかりません. 基本的には後日述べる「トロ」と同じと考えていいでしょう.「トロ」を参考 にしてください. ただ違うところは、足元からドン深になっている場所や、流れがぶつかってい る岩盤を釣る場合があることです. こちらから徐々に深くなっていて、対岸や真ん中が一番深くなっているところ は、鮎がかけ上がりに添って降りていくのでやりやすいのですが、難しいのは 岩などで足元が切れ込むようにドン深になっていて、対岸へかけ上がりが形成 されている場所でしょう.往々にしてその対岸へのかけ上がりに、いい鮎が多 く付いているものです. こんな場所ではいつもの調子で鮎をぱっと放しても、一目散に逆立ちをするよ うに足元の深みに消えていき、対岸の浅瀬に誘導できないばかりか、道糸を緩 ませておくと、逆立ちするように沈んでいくオトリにハリが絡むのがおちです. この場合には、余り前に竿を出さずオトリを放したら、道糸を張り気味にして 鮎が底へ着くのを確認します.糸ふけが出るのでわかるでしょう. 次に体と竿を岸から遠ざかります.つまり道糸が下がっている穂先と、オトリ が入っていった場所に角度を持たすためです. そして道糸をおばせ(緩め)、ときに穂先を使ってこちら側への抵抗を与える ことで、鮎を対岸に泳がせるのです. 竿を普通に出してしまうと角度が逆になり、ほとんど対岸へはいきません.反 対に、足元の岩盤を釣りたいときには、これを利用できます. 次に流れがぶつかっている岩盤を釣る方法です. こんな場所ではオモリ、若しくは背バリを使います.底では流れが緩いか、あ るいは吹き上がっている場合は、背バリでもいけます. 要点は、上流からオトリを沈め、徐々に岩盤に近づけるのではなく、なるべく 流れに乗せて下げ、ぶつかりの直前で道糸を緩め一気に沈めることです.つま り岩盤に添うようにしてオトリを底へ潜らせるのです. なぜなら、こんなところの縄張りはその岩盤に添って、縦に構成されているか らで、縦の岩盤の野鮎は「食み上がる」のです. そして、こういった場所の鮎は大きいのが特徴です. しかし、その岩盤の性質をしっかり見るのも必要ですね.あまりごつごつして いなくて、できたら一枚岩で構成されていたら最高でしょう. 自分がその岩を舐める気になって見ていただけたら、わかると思います. 「かけ上がりの攻略方」 これもほとんど「トロ」と共通の部分が多いですね.そちらで詳説します. 注意点は、できるだけ静かに、岸から下がって釣ることと、鮎が一番神経質な 場所ですので、正面に太陽を見る場所から竿をだし、竿の影を水面に映さない ようにすることです.それと、食みの時間が比較的はっきりしていることです. 午前中はまるっきり姿が見えなかったのに、午後になり太陽が真上に位置する ようになると、ぎらぎらと辺り一面鮎だらけなんて状況になる場合があります. この現象を、淵からの「食みだし」なんていいますね. ただし、遊び鮎も多く、オトリ次第な面もあります.釣技に差が付く場所です ね. 私の大好きな場所です.入れ掛りが味わえるところでもあります. 要点は、「下の浅場から、上の深みに向かって釣る」ことです. 今日のまとめ 足元のドン深はハリ絡みに注意して. 大鮎はぶちあたりの岩盤に付く.直接、大オモリで一気に岩盤に添って沈めよう. かけ上がりは静かに下手から.影にも注意しよう. 小鮎 547/552 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 応用編3 (20) 92/05/03 20:38 今回は「トロ」の攻め方について書いてみます. 「トロ場の攻略方」 水深は50cm〜2m位を想定します. 時間的には、あまり早朝ではなく、太陽が上ってからがいいようです. まず場所の選定が一番大事です.大小の石がびっしり敷き詰められた場所で、 おまけに川底の一部が、馬の瀬のように盛り上がっていたり、いくつもの筋が できていたりして、変化に富んでいる場所が最高です. 艶があり、ピカッと光っている石を確認しましょう.できれば魚影まで. あまりキラキラと白く腹を返しているのは、うぐいの可能性が高いですから間 違えないように.黄色っぽく見えるのは鮎です. 見えないのなら思い切って川へ入っていきます、腰までくらい入っていってよ く観察します.野鮎が居れば一時的には逃げるでしょうが、大丈夫です.ゆっ くりとオトリを休ませ、仕掛けを作っているうちに必ず戻ってきます. 難しいのは渇水期の石の見極め方です.盛期のように石の前や上部をはっきり とわかるようには舐めない場合が多いからです.その場合には場所の下手から 透かすように上手を観察します.鮎が食んでいれば、前部から見ているのとは 違って、石の一部がきれいに磨かれて見えるはずです. 特に石の下部を食んでいること多く、大石の後ろの小さな底石をもよく観察し ます.黒々と磨かれていたらしめたものです. 石の上部に積もっている泥にだまされてはいけません. まず川幅や水深にもよりますが、自分が釣ろうと思っている場所から少し遠ざ けたところにオトリ缶を静かに沈めます.そして一番元気なオトリを選んでタ モに入れ、選定した場所に近づきます.この場合には京ダモのように、底に水 を溜められる物が便利ですね. そしてある程度水へ入るか、場合によってはあぐらを組んで座り込み、いつも のように道糸の絡みを確認します.穂先まですっとさばきます. バカは最低1m以上は取ります.先日いいましたように、できるだけ竿の影が 水面に差さない位置を選んだほうがいいですね. そしてできるだけ速やかに鼻環を通し、オトリを少し上手、対岸へ向け放しま す. 時にはしばらく目隠しをするのもいいでしょう. これからはオトリに祈るよりありません.道糸を張ってブレーキをかけたりは 極力やりません、ひたすら野鮎の追いを待つのです.下手にやるとオトリの動 きが止まってしまい、泳がせを中断することになります.できるだけ自然に自 然に. 竿の角度が水面から30度前後まではそのままを保ちます. もし掛からず、竿が伸び切ってしまうと思ったら、それ以上は駄目です.オト リが向こうで浮き上がってしまいます. その場合には自分が静かに上流に移動するか、オトリを下手、手前に引き寄せ ますが、ある程度大胆にやります.10mくらい引き寄せても大丈夫、道糸を 緩めればその地点からまた上流へ動いていくはずです. 場合によっては下手へ走っていくこともありますが、その時にも慌てず竿をつ いていきます.そして動きが止まったら竿を下手、岸側へ寝させ、道糸にかか る水の抵抗と、穂先の力を借り手前に引く力を与えるのです.自分が少し下手 に移動することが必要な場合もあります. 抵抗をかける基本は、下手へ、こちら側へということを忘れずに. 下に走った鮎を上手に引けば、その時点で泳がせは終わってしまいます. 取り込みは、上流で掛かれば引き寄せもよし、下手で掛かれば引き抜きもいい でしょうが、できるだけ静かに、そして早くが基本です.そしてその後、オト リを替えての手返しの早さが勝負です.もちろん一匹掛かればすぐオトリ交換 です. この釣り方はうまくいくと、短時間で相当な釣果が望める一方、歯車が狂うと まったく釣れないこともあり、取り敢えず場数を踏むことが大切です. いつもいっていることですが、オトリが弱ったらこの釣り方はさっさとあきら め、瀬の方に移動するのが賢いですね. 最後にこの釣り方に最良の仕掛けについて一言. 道糸は鼻環まで直結で、ハリスはなく、ハリは直接引きほどき結びによる「尻 尾くくり」.慣れたらめちゃくちゃ早く掛かります. 今回のまとめ その場所の見極めが肝腎、石を見る目を養おう. オトリは上手、対岸に頭を向け、放す. やはり基本は鮎を行かせたい逆の方向に、抵抗をかけること. 小鮎 094/095 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 応用編4 (16) 92/06/07 19:56 しばらくお休みしていましたが、誰かさんに急かされ再開することにしました. 前回には「トロ釣り」を書きましたので、今回は「瀬釣り」について書いてみ ます. 「瀬の攻略方」 瀬といってもいろいろな流れ、強さがあり一言でいい著せるものではありませ ん. で今回は、がまかつの鮎竿のシリーズから名前を拝借して、「チャラ瀬」「早 瀬」「急瀬」「荒瀬」「激流」と規定して解説しようと思ったのですが、いか にもオリジナリティがないのと、たった一つの流れの中にもそれぞれの部分が 含まれている場合が多いので、今回は「瀬」というものを複合的に捉えて書い てみようと思います. と、ここまで書いてきて、はたと止まってしまいました. これはあまりにも複雑すぎて一つの文章にまとめるのは絶対に無理なことに気 がついたのです. だって私がよく行くフィールドにしても、木曽川日本ラインの激流から、地元 愛知川のちゃらちゃらの瀬まである訳だし、使う釣り具にしても千差万別、掛 かってくる鮎も25cmオーバーから15cm前後まであり、きりがないこと です.書けば書くほど矛盾に陥るのが関の山. で、常日頃私が行く川で瀬を前にしたときの思考、行動をそのまま書いておき、 次の機会に各河川ごとの攻め方について触れるほうがいいと思いました. あくまで友釣りは、とにかく川に通い、慣れることであると書いていて実感し ました. * 朝川へ下り立った.川はごうごうと音を立てて流れている. 一瞬不安を感じる.こんな荒瀬で持ってきた養殖のオトリが入ってくれるだろ うか. どこの部分から攻めればいいのだろう.竿は硬調だからこれでいける.オモリ は何号を使ったらいいのだろうか.掛かってくる鮎の大きさは.それで道糸は 何号を使ったらいいのか.判断をしなければ. よし、道糸は0.2号のメタセンサー、ナマリは養殖でもあるし5号を使おう. ちょっと待てよ、メタセン使うのやし、3号でいけるな.場所は瀬肩を捨てて 真ん中から下.そして徐々にヘチからなんて考えずに、最初からどーんと流心 近くをやろう.流心はちと無理やな.ヤバくって入っていけないし、オトリも 養殖ではね. 天然に変わったら流心へ突っ込んでいくだろうから、その後だ. 多分野鮎は25cmをオーバーする可能性がある.最初だし取り込む場所はあ の岩の後ろのヨレでタメよう.しかしそれを突っ切られたら抜くしかないな. しかしなるべくなら最初からあんまり大きいのは掛からんでもええで.20c mくらいが扱いやすいし. バカは流れと野鮎の引きに伸されないくらいは必要だし、約1.2m取ろう. よし、鼻環も通したし川へ入ろう.おっとっと、よく滑るなあ.ちとアカが腐 り気味か.注意せんとなあ.へたしたら流される. オトリの鼻ズラを上げて川下へ下げ竿を寝させる.たのんまっせ、オトリさん. 頑張ってや. あかん、あかん、沈まんわ.こりゃとても3号じゃ無理や.しょうがない.ち ょっとだけ手前の緩いところを狙おう.そうそうあの石とあの石の間の溝が狙 いめやな. よしよし、オトリもしっかり底になじんでいるな.たまにコンコンとオモリが 石に当たる感覚も伝わる.しかしこのまま引くとちょっとな.石にオモリが絡 む可能性があるな. ちょっと竿を立てよう.ふんふん、これでいい.今度はちょっと石の頭の方へ 誘導してみよう.竿を立てたままじゃ無理やから少し寝させ気味にして引こう. ととと、来た来た来ました.おっほっほ、よう引くわ.まあ最初やし例のとこ ろでタメてっと.よしよし.取り込んだで.ふふふ、丁度手頃や、21cmく らいあるかな. 背掛かりのええオトリや.こいつやったら3号で流心一直線やろ. そうそう、そのままや.よしよし.竿を少し下手に振ってみる.行くやんか. 道糸をちょっと斜めに使ってやったら、トイメンの流心へ一直線や.こら掛か るわな. 見てみ、すぐや. ちょっと、、ちょっと、.竿を伸されるがな.これはデカイ.あかんあかん. 今度は下へ走られる.ドブン、あいたた、コケてしまった.とりあえず岸へ岸 へ. やばいなあ、下にはすごい激流が待っている.しょうがない.抜こう.それ以 上は絶対に下がらせないな.その石のタルミで、、ヒュィーン、ヒュィーン. メタルはええ音するなあ.よし、オトリは出たな、今や.ズシーン、、とタモ の中へ.デッカイなあ、しかし25cmはないなあ、ええとこ23cmくらい や.まあこれくらいで納得しておこう. * でもこのままではひどいですね.少しまとめてみます. チャラ瀬・・・私はあまりやらない.鮎が小さいから. 一つ一つの石を舐めるように、下から丁寧に引き、オトリが変 わったら泳がせにする.できるだけ下から上へ.手返しを早く. 早瀬、急瀬・・底石の大きさによって釣り方が変わる. 日置川のように底石が小さい川は、オトリをしっかり底に沈め ることだけを考える.底石が大きければオトリを縦に使う. 小石の場合はオモリがいい.大石なら背バリも有効. 荒瀬、激流・・鮎が大きければバカはたっぷりと.タメられる余裕を生む. 背バリは使わない.ナマリは1ランク大き目を. オトリを1点に止められる竿を使う. 誘いは小さく、静かに上へ引くだけでもいい. どんな場所でもオトリが天然に変われば、泳がせの場所、時間ができるはず. 「荒瀬泳がせ釣り」は最高のおもしろさです. メタルができたことでもあるし、一度挑戦してみてください. 小鮎 142/147 MAF01054 びわ湖の小鮎 『泥舟への誘い』−友釣り− 応用編5 (16) 92/06/11 18:33 さて今回で応用編の最後です.次回からは皆さんの協力も得て「各河川実技編」 へ入りたいと思っています.イツニナルコトヤラ ^^;; で今回は巧くなろうと思っている人だけの講習です. なぜか、、まず始めは釣れないと思うからです.いらいらすることもあるで しょうし、もう止めたいと思うこともあるでしょう.隣の釣り人を意識する人 や、とりあえず釣果が欲しい人は止めておいたほうがいいかも知れません. * 「短竿による見掛けのすすめ」 最近竿を作る技術の飛躍的な進歩で、長い竿を使う人が多くなってきました. 極最近になって10mくらいに落ち着いてはきましたが.大河川で使うぶんに はいいのですが、私の地元の愛知川のような小河川でも使っておられるのをよ く見ます. 風潮がそうなのでしかたがない面もありますが、あまりにも無駄が多いように 思います.以下の3つがあると思います. 1.足元手前を無駄にしていること. 2.しっかり石を捕まえ切れないこと. 3.オトリに無駄な動きをさせやすいこと. 1.はよく分かりますね、竿が長いとどうしても沖を狙いたくなります. 2.はどうしても距離が遠くなるのでポイントに入れにくい. 3.は手先で10cm動かしても竿が長い分だけ大きく動いてしまうというこ とです. ここで皆さんにもう一度原点に戻っていただきたいのです.その原点が短竿に よる見掛けだと思うからです.昔は「へたの長竿」という諺もあったのですよ ね. 「見掛け」とは、いまさら解説する必要もないでしょうが、「石に縄張りを形 成している野鮎の近くにオトリを入れ、実際に見ながら挑発させて掛ける」こ とです. 一度川へ着いたら静かにじっくりと見回ってみましょう.岩盤などに多く見ら れると思いますが、しきりに近づいてくる野鮎を追っている鮎が見つかるはず です. 短竿でバカもあまり取らずオトリを近づけ、掛かるまでやってみてください. 一夏を捨てる覚悟で、どこへ行ってもこれをやります.徹底的に.見掛けので きるところへ通うのもいいでしょう. するとわかるはずです、どうすれば挑発できるのか、どうしたときに鈎掛かり するのか、ハリの位置はどこがいいのか、またその逆も. そして重要なのは、いったい縄張りを形成している場所の中で、どの場所へ入 れたときに一番追うのかということです.縄張りの中でも重要な場所があるの ですね. ともかくいろいろ勉強になります.是非一度やってみてください. この「見掛け」に関連して最近ある新聞で紹介された仕掛けを書いておきます. 逆バリにもう一本普通の鮎バリを、ちょうどS字になるようにくくるのです. つまり逆バリのところに下向きのハリが出ているように. ある日の解禁日に使ってみたところ、20匹掛けたうちの8匹までがこの逆バ リのところにセットしたハリに掛かったそうです. これを考えた人は「40%釣果がアップする」と豪語しているそうです(^_^) 実はこれを考案するに至ったのも、見掛けをしていて野鮎が追っているのに掛か らない、いつも下をくぐり抜けていくだけだ、ということから考えたようです. これにいつもいらいらしていた私には実に良くわかります(^_^) しかし、、顔や頭の部分に掛かりやすいような気もしますが、、(^^;; 今回で応用編は終わりたいと思います. 次回からは皆さんといっしょに、「河川別実技」とでも仮名して続けていきた いと思っています. 小鮎 |