その他の写真>蓮>舞妃蓮

【直前の画面に戻る】(BACK)
 大賀蓮とアメリカの王子蓮との交配品種。和歌山県御坊市の阪本祐二氏が昭和41年に作出。

 この蓮は皇居にも献上された蓮である。たいへん花付きが良く、旺盛に生育する。福井県南越前町の「花はす公園」では、蓮のための大きな池がいくつもあって、その一つが舞妃蓮に当てられている。この蓮はやや細長い形の莟がすっきりと立ち上がる。咲きはじめは、莟の先端にわずかに紅が差しているほかはクリーム色に近い白色である。花が開花するとかなり大きい。他の蓮と同様に、4日が寿命である。3日目、開花が終わると花弁はそのままで、2日目までのようには閉じない。他の蓮とちがうところは、このとき、花弁がいろんな方向に拗れていくことである。舞妃蓮の名前はこの散りはじめる花弁のようすから付けられたという。

 近年では大賀蓮とともに非常に人気の高い品種で、全国各地に植えられている。舞妃蓮の作出者阪本祐二氏の故郷、和歌山県御坊市には、舞妃蓮の保存会があり、大事にこの蓮を育てている。御坊市のホームページにも舞妃蓮の紹介がある。阪本祐二氏は大賀蓮の発見者である大賀一郎博士の教え子で、大賀蓮が偽物ではないかという意見が出たときに、花粉の研究をして、大賀蓮が古い時代の蓮であることを主張して認められたという。若くして鬼籍に入ったが、弘子夫人や長男の尚生氏が後を継いで、彼の作出した舞妃蓮や紅舞妃蓮、大賀蓮などの栽培や研究を続けている。

 大賀蓮やアメリカの黄花蓮を見ていると、これらを掛け合わせて舞妃蓮のようなクリーム色の花がどうして出てくるのだろうかと不思議である。花色だけでない。大賀蓮は、栽培にはかなり神経を使うようで、ほったらかしにしておくとすぐに絶えてしまうという。しかし、これをアメリカの黄花蓮と掛け合わせると、非常によく育つ元気な性質をみごとに引き継いだのである。