その他の写真>桜>寒緋桜

【直前の画面に戻る】(BACK)
 沖縄・台湾・中国に自生する桜の一種。

 日本でもっとも早く咲く桜で、沖縄ではこの桜の花見を楽しむ人が多い。 本州にたくさん植えられている染井吉野は、沖縄では冬に気温が下がり 切らないことが多く、本州のようにはうまく開花しないことから、 気象庁の桜の開花の標準木には指定されていないようだ。

 本日(2022/02/01)のニュースでは、沖縄ではもうこの桜が満開を 迎えていると報じていた。

 ちあんみに、北海道でも染井吉野は育ちにくいので、桜の開花を 伝える標準木には大山桜が用いられている。

 この桜のほかに早く咲くのは、河津桜くらいだろうか。これは 伊豆半島の河津町で発見された桜で、例年2月中旬から3月中旬 まで桜祭りが開催される。

 寒緋桜は、もともと「緋寒桜」と称されていたが、「彼岸桜」と 音が似ていてまちがいやすいということで、「カンヒザクラ」と ひっくり返したと言われている。しかし、緋色の寒桜というのが もともとの意味なので、寒緋桜というのは日本語の命名感覚から すると違和感がある。まちがいなく伝わる名前がいい、ということ なのだろうか。

 ふつうの桜に比べて寒緋桜の花は筒形である。花は下を向いて開くが、 パッと大きく開くことはほとんどない。花付きはたいへんよくて、 たくさんの筒状の花が俯いて咲くようすはなかなか印象深い。 花は濃い紅色で、莟のときもほぼ同じ色である。

 私がよく行く石川県の樹木公園にも何本か植えられているが、 寒冷地のためか、あまり元気のない木が多い。やはり南国の暖かな 気候が合っているのだろう。

 桜のなかでも特殊な花の形やいち早く春を告げるように咲くその 姿から、各地の公園や植物園に植えられている。京都府立植物園にも 植えられていて、ほかの桜に先駆けて濃い紅色の花がかたまって 咲きはじめると、古都の春ももうすぐそこまで来ていることを感じるのである。