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 「山桜」という品種名ということになっているのだが、野山にふつうに咲いている桜のことかと思ってしまう名前である。

 植物園や桜見本園のようなところで探しても、たんに「山桜」と名前が記されている場合がほとんどである。咲いている花をよく見ると、ちがう品種ではないかと思うものもあるのだが、きちんと区分するのはかなりむずかしいそうである。はっきりと区別がつくような特徴を持っている場合は品種名が付けられている場合もある。「薄毛山桜」「八重山桜」など。

 山桜が比較的多く植えられているのは、京都府立植物園、林業試験場樹木公園(石川県)などであるが、いずれも、付けられているラベルはほとんどが「山桜」である。

 花の色もピンク色のものからほぼ真っ白に近いものまで微妙にちがう。また、枝垂桜のように枝が垂れ下がってくる品種「山桜枝垂れ」もある。

 山桜は、開花期になると、花の蕾と一緒に葉も開いてくるものが多い。若葉はかなり色の濃い紅色であったり黄緑色であったり、これもさまざまである。開きはじめた葉の上に花がパッと咲く姿は、染井吉野を見慣れた人にとっては新鮮だろう。

 なお、中部地方から北のほうには山桜よりも大山桜(蝦夷山桜)が分布している。北海道では、染井吉野がほとんどないので、この蝦夷山桜が桜の標準木になっている。西日本生まれの私は、長野県や岐阜県の山に行ってこの大山桜に出会うと非常に嬉しくなったものである。大山桜の花は山桜よりもやや大きいのがふつうであるが、西日本の植物園などに植えられているものは気候のせいか花がやや小さくなっているように思える。また、木の傷みも早く、枯れてしまっているのをときおり見かける。