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 伊豆から房総地方に自生する桜。各地の公園や植物園にも植えられている。伊豆大島の「桜株」は巨大な大島桜の株で、国の天然記念物に指定されている。

 桜餅で餅を包んでいる桜の葉っぱは、この大島桜のもの。自然のものでは足りないので、静岡県などで広く栽培されている。青葉が綺麗な時期に摘み取って塩漬けして保存するそうである。

 大島桜と江戸彼岸桜を交配させた桜が全国に植えられている「染井吉野」であろうと言われてきたのだが、まだ断定できるほどの研究成果は上がっていないようである。数年前、片方の親が「小松乙女」という品種ではないかと話題になったことがあったが、その後の情報が出てこないところを見ると、小松乙女も決定打にはならなかったと思われる。

 一度だけ伊豆大島に渡ったことがある。熱海に行ったとき、ふっと思いついて港に寄ってみると、大島行きの切符がまだあったのである。帰りの切符も一緒に買っておかないといけないということだったが、そういう事情も知らずにふらっと立ち寄ったのだった。大島の岡田港に着いたら、バスが何台も止まっていた。ツアー専用のバスが多かったが、私はもちろん路線バスに乗り、椿園と桜株を目指した。椿にはすこし早かったようだが、大島桜は島のいたるところで咲いていた。桜株は海に近い斜面のなかにあって、野生の栗鼠が集まってきていた。この桜は主幹がもう枯れているようすで、枝かひこばえのような太い幹?がのたうつように広がっていた。樹齢は約800年だそうである。樹高は10メートルもないのだが、株の周囲は7メートル近い。しばらく芒然と眺めていたのだった。

 大島桜のなかでは、早咲きのものや実が赤くなるものなどいくつかの変異種がある。早咲きのものは2月中旬には開花する。静岡県浜松市のはままつフラワーパークにもかなり大きな大島桜が一本あって、染井吉野が咲くまでの入園者の目を楽しませてくれる。

 石川県林業試験場の樹木公園にも大島桜の大きな木が何本もある。雪の多い地方なので冬に降り積もった雪で木が傷んでいるものもかなり見られるが、それでも、春になると若葉とともに白い花が枝先いっぱいに咲く姿はみごとである。