その他の写真>桜>極楽寺の野中桜

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 国の天然記念物に指定されている桜。新潟県阿賀町の極楽寺という寺の境内に原木がある。

 天然記念物に指定されたのは昭和2年(1927年)4月8日。ベニヤマザクラの変種であるという。

 紅山桜というのは大山桜のことで、本州中部以北から北海道に分布する山桜の一種。 山桜は西日本に分布するものと東日本から北海道にかけて分布するものに大きくわかれる。 私が見慣れている山桜は西日本のもので、花は白いっぽいのがふつうで、わりと小さめである。 それにたいして、大山桜は薄い赤紫色で、花もやや大きい。この2つの山桜が一緒に生えている ところはほとんどないようだ。

 大山桜の中でも花がとくに大きく変化したのが、この野中桜で、珍しいということで国の 天然記念物に指定されたようだ。極楽寺周辺には同じような大きめの花をもつ大山桜があるという。 極楽寺のこの大山桜も、江戸時代に野中堤より移植したものだという。野中堤はどこなのか。 近くを流れる常浪川の堤防のことであろうか。同じような桜がこの地域には何本もあったのだろう。 それを愛でて極楽寺の境内に植えたものが現在まで守られてきたことになる。天然記念物に指定 される頃には主幹は枯れて根元から蘖(ひこばえ)が何本も伸びていたらしい。それが大きく 育って今も元気に花を咲かせている。

 この桜は、極楽寺の原木以外にはほとんど見ることができないようだ。新潟から会津若松に 抜ける途中、福島県との県境に近い阿賀町まではかなりの距離がある。そこまで行かなければ 見ることができないので、私が保有する写真の数はあまり多くはない。年によって開花の時期 が多少はずれるので、人間の都合で訪ねてもうまく満開の花に出会えるかどうかはわからない。 それでも、毎年花の時期になるとまた訪ねたくなる桜である。