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冬の薔薇。岐阜県可児市のぎふワールド・ローズガーデン(旧:花フェスタ記念公園)。
12月に入って、薔薇はそろそろ終わりだが、6,000種類もの薔薇があるこのバラ園では、 まだ咲いている花がある。広い園内をゆっくり歩いていると、 ぽつりぽつりと灯るように首をかしげて咲いている花に逢える。 人が少なく、しんとした雰囲気も素敵だ。 オールドローズのエリアでは、花はほぼ終わりなのだが、それでもいくつかは咲いていた。 オールドローズは、とくに蔓性の薔薇はほとんどが春だけの開花である。 しかし、なかにはぽつんと咲いている花もあって、そういう花に逢うと嬉しい。 バラ園では春(5月)の開花に合わせて、年末から1月にかけて強剪定をする。 根元から30センチほどのところでスパッと切ってしまうのである。 棘のついた幹の根元だけが残るのだが、薔薇は剪定をしないとうまく育てていけないらしい。 原種やシュラブ性の薔薇はこのような剪定をあまりやらないようだ。 モダンローズなど多くの薔薇は台木があってそこに品種ごとの苗を接ぎ穂しているのだが、 剪定を必要とするかしないかは接ぎ穂の有無も関係しているように思う。 原種やオールドローズが植えられているところでは、枝が四方に好き勝手に伸びて、 歩くのが困ることもあるくらいだが、あまり剪らないほうがよいらしい。 枝が通路いっぱいに広がっていて、このバラ園は管理が悪いね、という声をたまに耳にするが、 管理が悪いのではなく、そこに植えられている薔薇にふさわしい育て方をしている、と理解したい。 枝が広がっても不自由なく歩けるような広い通路が確保できるのならそれに越したことはないのだが、 どこのバラ園でもなかなかむずかしいようである。 新潟県長岡市の国営越後丘陵公園のバラ園はかなり広い敷地があるのだが、 それぞれの薔薇の特性を考えて植えられているので、スペースがあるように見えても、 今以上の品種を増やすことはむずかしいのだと以前に聞いたことがある。 一昨年の春、国営越後丘陵公園に行くと、オールドローズのエリアに新しい株が植えられていた。 それは「ムスー・デュ・ジャポン」というモスローズの一種で、日本国内ではそれまでに 3カ所でしか見たことがなかった珍しい品種だった。近くにいたスタッフに声をかけたら、 この薔薇の導入の経緯を話してくれた。 この薔薇は私も好きで以前から植えたいと思っていたのだが、広いように見えても 植えられる数には限りがあって、これ以上は無理だということでずっと植えられなかったのだが、 昨年ここに植えてあった薔薇が枯れてしまったので、同じ品種を植え替えないで、 この「ムスー・デュ・ジャポン」を植えたということだった。 あと何日か経つと、わずかに残っている花も剪られてしまい、バラ園は眠りにつく。 |